しかし、鈴香さんは、そのFPと会う前に、私のところにご相談に来られました。ご経験がある人も多いと思いますが、勧められた金融商品について検索をし、いくつかの否定的な情報を読むうちに、だんだんと不安が募ってきたからです。
自ら、老後の不安を解消したいと行動した鈴香さんはすばらしいですが、残念ながら、「商品を買うことで解消する」という間違った方法を提案されてしまったわけです。
「老後の生活費はいくら使えるのか」を今すぐに確認する
では、正しくはまず何をすべきなのでしょうか。それは、「漠然とした不安」を解消するために、今の時点でいいので、貯蓄やこれからもらえる年金なども考えつつ、「老後の生活費は、いくら使えるのか」を自分で確認することです。
多くの人は、年金を収入の中心として不足分を貯蓄から取り崩して生活します。まだリタイアまでに時間があるので、今後、もう少し貯蓄を積み上げていくことはできますが、いったん、現時点で、老後の生活費はどのくらいが見込めるのか、確かめてみましょう。
ここで使うのは「老後設計の基本公式」です。これは、老後期間全体を通じて、「毎年平均的にいくら取り崩すことができるのか」、その金額を出すものです。つまり、年金と合わせた生活費の目安を知ることで、老後の生活をイメージするというシンプルな考え方です。とても簡単ですので、皆さんもぜひ一緒に計算してみてください。
なお、年金ですが、自分が受け取れる年金については、50歳以上の人は、「ねんきん定期便」で知ることができます。「ねんきん定期便」には、今後60歳まで現在の状況に変化がなければという前提で、受給見込み額が記されています。また50歳未満の方で、もらえる年金額がわからないという人は、以下の式で、おおよその受給額を計算できます。
厚生年金は、税金などの控除前の年収が800万円未満の場合、「ねんきん定期便の金額+60歳になるまでの年数×平均年収×0.005481」で求められます。また基礎年金は、保険料を納める期間が1年増えるごとに約2万円増え、満額は77万9300円(2018年度)です。
では、老後設計の基本公式と、式に入れる数字について説明してきましょう。
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