世界の「土」はたったの12種類に分類できる

本当にいい土はどこにあるのか?

食材の産地を訪ねるテレビ番組で、農家のおじさんが「この土はいい」という時、必ずといっていいほど、手にとった土をこねる。あの手で瞬時に化学分析をしているわけではなく、色と手触りの違いをたよりに土の肥沃さを判断しているのだ。土の色や手触りは、肥沃な土とどうかかわるのだろうか。

風景画の背景の土を塗る時、子どもの頃の私は迷わず黒色の絵の具を選んだ。日本人なら「黒色」「こげ茶色~黄土色」「灰色」を思い浮かべる人が多いだろう。黒色と答える人は、北は北海道、東北から関東、九州まで日本全国にいる。

赤色を選ぶ人は、沖縄や小笠原諸島に多い。世界を見渡せば、アフリカ中央部の子どもたちは赤色の絵の具を手にとる。中国の黄土高原の子どもたちは黄色、スウェーデンの子どもたちは白色の絵の具を選ぶ。私たちの潜在意識には、確かに土の記憶が存在する。

色は、土の性質をつかむうえで重要な手がかりだ。土の構成成分のうち、腐植は黒色、砂は白色、粘土は黄色や赤色である。土の色は、腐植、砂、粘土の量のバランス、粘土の種類によって決まる。

私たちが知っている土の色の違いは、その素材の違いを反映している。色と手触りをもとに、フカフカした黒い土を「この土はいい」ということもあるし、真っ白な砂漠の土や赤土をとって「不毛」だとか「貧栄養」だと断じることもある。見た目の直観は8割がた正しい。

土の性質を決めるものは、腐植と粘土の量、粘土鉱物の種類である。ネバネバした土をとって「肥沃だ」と判断する根拠には、粘土や腐植の水持ちのよさ(保水力)と養分を保持する能力がある。

世界の土はたったの12種類

「土は見た目が8割」と豪語したが、見た目だけで判断すれば、2割は間違うことになる。そうでなければ、専門家は必要ない。

昆虫や植物などの生物に分類上の名前があるように、土にも名前がある。生物の場合、今のところ知られているだけで、昆虫は75万種、植物は25万種、キノコは7万種もいる。これは学名を与えられた種数に過ぎず、未発見の名もなき生き物たちは星の数ほどいる。さて、土にはいくつ種類があるのだろうか?

実は、土の種類は12種類しかない。熱帯雨林を調査するたびに新種が発見され、種数を増やす昆虫や植物の世界とは少し事情が異なる。植物の名前を覚えようとして挫折した人間でも、12種類なら覚えられる。12という数字は、プロ野球の球団数と同じだし、サッカーの出場選手11人より少し多いだけだ。地味な土を研究対象としたことは、間違いではなかったと確信した。

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