グーグルは、社員を「恍惚状態」にさせている 最高の状態で仕事するにはクレイジーになれ
ちなみに、イベントの締めくくりとして、会場の中心で「象徴」として掲げられていた巨大な人形を燃やすことで1週間限定の街は終了し、元の何もない砂漠に戻る。これが、イベントの名前、バーニングマンの由来だ。
バーニングマンは、ウッドストックの時代と違い、カウンターカルチャーの自由奔放な人たちが参加するイベントではない。一種独特の優秀な人たち、資本とマーケットとグローバル通信プラットフォームを使えるテクノマド(技術遊牧民)の有名人が集う場所なのである。
スタンフォード大学の社会学者、フレッド・ターナーは、シリコンバレーでバーニングマンが支持されるのは、それによってハイブマインド(集合意識)が人々の間に広まるからだと述べている。「エンジニアリングの仕事が、全員で職業的恍惚(エクスタシー)を感じる経験に変わるのだ」。
圧倒的な経験は、脳をすっかり変えてしまう
連続起業家で、昔から参加者しているイーロン・マスクは、「バーニングマンに行ったことがないなら、シリコンバレーの住人とはいえない。ロサンゼルスでいちばんぶっ飛んでるパーティを1000倍にしても、まだまだ比較にならない」とまで言い切る。
いくつかの業界では、バーニングマン特有の用語が会話に上ると、この人とは火を見つめながら人生の転機となる経験を分かち合ったのだ、と感じて友情が芽生えるという。かつてカウンターカルチャーの仲間意識を育てたものは、今やキャリアアップの材料へと変わったのだ。
それでは、バーニングマンを体験することは、脳にどのような働きをもたらしているのだろうか。
ゾーンと呼ばれる状態に入ると、脳内では、セロトニン、ドーパミンをはじめとする、あらゆる神経伝達物質が活性化し、圧倒的な快感を得る。また、前頭前野の働きが低下することで頭の中で響く自分への批判の声がやみ、エゴが消える。