グーグルは、社員を「恍惚状態」にさせている 最高の状態で仕事するにはクレイジーになれ
そして、うっとりするような一体感と、永遠に続くほどの時間の感覚を、その場にいる全員と共有できる。グーグルでは、この「一体感」を利用して、エンジニアが密接に連携することで、パフォーマンスを上げようとして、従業員にバーニングマンへの参加を推奨していたのである。
かつて、ゾーンに入るテクニックとしていちばんシンプルなのは「瞑想」だった。しかし、歴史を振り返ってみると、瞑想を手段にして、自己が消える状態を安定的に作り出したいと思う場合、何十年も修行を積む必要があった。
数百万ドル規模の「マインドフルネス・センター」
しかし現代の研究者たちは、目標の核心が「悟りの境地」ではなく、実は「脳機能の変化」――脳波が低アルファ波や、さらにリラックスした高シータ波の状態になる――と関連していることを突き止めた。これによって、新しいさまざまなトレーニングを選択し、人工的にゾーン状態の脳をつくり出せるようになったのだ。
瞑想時に呼吸に集中する代わりに、ニューロフィードバック装置(脳波を測定する機器)を使って、科学的に、あっという間に、脳をアルファ/シータ波の領域へ導くこともできるようになった。こうした進歩のおかげで、グーグルのような組織は、パフォーマンスを上げるために、以前とはまったく異なるアプローチができるようになったのである。
では、グーグルは実際にどのように、従業員を瞑想状態へ導こうとしているのだろうか。グーグル本社を訪れた私たちは、自己紹介を終えるとすぐに、おなじみのカラフルな「グーグル自転車」に乗って、真新しい数百万ドル規模のマインドフルネス・センターに足を踏み入れた。
柔らかなライムグリーンの色調で、竹でアクセントがつけられたこのセンターで目を引くのは、搾りたてのジュースを24時間提供するジューススタンドと、海軍の擁する「マインド・ジム(脳をゾーン状態に導くための研究施設)」で見たのと同様のセンサー一式、およびニューロフィードバック装置を備えたいくつもの瞑想室である。