投資で迷ったら金融機関に聞く「4つの質問」 金融商品を買う側も売る側も「幻想」がある

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ではこうした「お互いの幻想」によって起き得るトラブルはどうすれば未然に防ぐことができるのでしょうか。私は、顧客側がせめて、下記の4点について最低限確認するべきだと思います。

金融機関に聞くべき4つの確認事項とは?

① 投資している対象は何なのか
② 投資対象にはどのような種類のリスクがあるのか(価格変動、金利、為替等)
③ 価格の変動に影響を与えるものは何か(どんな時に値上がり、値下がりするのか)
④ それらのリスクによって投資した金額がどれぐらいまで減る可能性があるのか

少なくともこれら4点について質問し、理解できる状態でない限り、投資すべきではないと思います。もちろんこれらを質問すれば、金融機関として説明する義務があるので、きちんと説明するはずです(説明があやふやなら100%買ってはいけない商品です)。

それと、顧客側が勘違いしてはいけないのは金融機関の販売員を運用の専門家だと思ってしまうことです。窓口や営業にやってくる金融機関の社員は、その金融機関で取り扱っている商品を販売する人であって運用の専門家ではありません。

また、金融機関に属していないファイナンシャルプランナーだとしても相談やアドバイスについて手数料(フィー)を取らない場合、その多くは金融商品を販売することで金融機関から収入を得ているはずですから、中立公正な提案やアドバイスを期待してはいけません。

服を買う話に置き換えてみるとわかりやすいでしょう。お店の販売員さんは「お似合いですよ~」と言いながらその店にある服を提案営業してくれます。しかし、実際に今日買いたいと思っていたのはパンツで、勧めてくれたジャケットではない、とか、すでに持っている服との着回しが合わない、と思えば買いませんよね。さらに「家で洗えるか?」といった管理を考えて取り扱い可能な商品かを質問し、気に入らなければ買わないはずです。金融商品でも同じです。

実は私は5年ほど前に、スタイリストの方に数万円払って、服を選んでもらったことがあります。面倒な服選びをプロにお任せできたうえに、合わせ方や似合わない色といったことも教えてもらい、今も重宝しています。その際、ファッションセンスのないことや今までの失敗などを吐露したことが、自分にとって有効なアドバイスを得ることにつながりました。

自分が得意ではない分野、時間をかけたくないのであれば本物のプロに適正なアドバイス料を払い助けてもらうことが有効です。決して、販売員に幻想を抱いて、有効なアドバイスをもらおうなどと期待してはいけません。また、リスクのある金融商品を持ったことがない人で、退職金などの将来まとまったお金ができたら投資を、と考えている人は、まずは質問できるレベルの基礎知識を蓄えましょう。これは「20代社員は地味な積み立て投資が向いている」にも書いたとおりです。本格的な投資をするなら、それからで十分です。

大江 加代 確定拠出年金アナリスト

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おおえ かよ / Kayo Oe

大手証券会社に22年勤務、サラリーマンの資産形成にかかわる仕事に一貫して従事。退社後、夫の経済コラムニストである大江英樹氏(株式会社 オフィス・リベルタス 代表)を妻として支える一方、確定拠出年金の専門家としてNPO確定拠出年金教育協会 理事、企業年金連合会 調査役として活動。野菜ソムリエの資格も持つ。

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