投資で迷ったら金融機関に聞く「4つの質問」 金融商品を買う側も売る側も「幻想」がある

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私はどちらにも問題があり、その背景には「双方が相手に幻想を抱いていることがある」と考えます。

「買う側」「売る側」双方の「幻想」とは?

まず、買う側は、「金融機関はプロなのだから、何が一番儲かるか知っているに違いない。そして今日は退職金というまとまったお金の相談に来ているのだから、特別な客だ。きっと有利な商品を勧めてくれるはずだ」と考えてしまいがちです。

しかし、「良い金融商品」とは、何でしょうか。たとえば電化製品や車なら機能が優れていたり、デザインがニーズや好みに合っていたり、となるでしょう。一方、良い金融商品とは、端的に言ってしまえば儲かることです。

ところが、金融商品が儲かるかどうかはマーケット次第の部分もありますから、そんなことは事前には決してわかりません。相場が上がるか下がるかは誰もわからない以上、何が儲かる商品かなど、わかるはずがないのです。「これが儲かります」と言って勧めてくる行為はあきらかに不適切ですが、それを期待する側もまた間違いだと言えるでしょう。

一方、販売する側も顧客に対して「ある種の幻想」を抱いています。「現時点の市場の見通しやお客様の状況を鑑みて、適切と思われる商品をご提案し、商品の仕組みやリスク、そして手数料など説明すべき内容はすべて説明した。『説明の足らない部分やご質問はない』とおっしゃっているので、内容も正しく理解されている。さらにこの金融商品を買って将来値下がりして目減りする可能性も承知したうえで、自分のリスク許容度に合っていると判断されている」と思っています(もちろんすべての営業マンがこれほど誠実というわけではありません)。

ところが、実際には「説明は聞いたけど、理解していない」というお客様が多いこともまた事実なのです。金融機関側は、法的には説明を受け、理解したという書類にサインがあれば裁判で負ける可能性は少ないでしょう。でも本当にそれでいいのでしょうか?

そもそも、理解しづらい商品を勧めたり、リスクの認識を十分に持たない人に対して株式や投資信託などの価格変動商品を勧めたりすべきではありません。金融商品取引法で言うところの「適合性原則」(投資家保護のための勧誘・販売のルール)とは、単に年齢だとか投資経験といった形式的なもので判断するのではなく、実際に一人ひとりの顧客との対話を通じてしっかり判断すべきことではないかと思っています。

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