手抜き授業をする「部活大好き教師」は辞めよ

前川喜平氏が示す「部活動改善」の方策とは?

部活動指導による教師の負担感には、勤務時間の長さによるものだけでなく、不得手なこと、やったことのないことをやらされる負担感もある。

2014年の日本体育協会「学校運動部活動指導者の実態に関する調査報告書」によると、中学校で運動部顧問をやっている体育教師以外の教師のうち半数近く(45.9%)は、自分が担当する競技種目の経験がない。

部活動は「校務分掌」として各教師に割り当てられる。スポーツ庁の「平成29年度全国体力・運動能力等調査結果」によると、88.4%の中学校で教員全員による指導体制が取られ、希望制としているのは5.3%にとどまる。校務分掌は校長による職務命令による職務だから、本来正規の勤務時間内で行うべきものである。

教師の勤務時間は、原則1日7時間45分である。さて、この時間内に部活動指導という仕事は収まるのだろうか。収まるはずがない。部活動は放課後に行われるから、その時間の大部分は勤務時間外に当たる。土日の部活動指導は当然時間外勤務だ。それでは、各学校の校長は部活動顧問の教師に対し、恒常的に時間外勤務を命令しているということなのだろうか。

教師の残業は"自発的な勤務"?

その点は、その学校が公立学校なのか国立・私立学校なのかで違ってくる。

国立学校と私立学校の校長は、労働基準法のもと、その監督下の教師に対し時間外勤務を命じることができる。その場合には、教師の時間外勤務に対し、その時間数に応じた時間外勤務手当が支給されなければならない。

一方、公立学校の校長は、給与特別措置法という法律があるため、「超勤4項目」という限定的な事由がある場合にしか、教師に時間外勤務を命じることができない。「超勤4項目」とは、①生徒の実習、②修学旅行などの学校行事、③職員会議、④非常災害の場合などの緊急の業務のことで、部活動の指導はその中には含まれない。

つまり、勤務時間外に及ぶ部活動指導を命じることはできないのだ。だから、勤務時間終了後に行われている部活動指導は、教師の「自発的な勤務」だということになってしまう。

部活動顧問という校務分掌を命じる校長の職務命令は、教師が勤務時間外に自発的に勤務することを暗黙の前提として出されているわけだ。いわば「出せない命令」を出しているのだ。そこには、明らかに制度上の矛盾があると言わざるを得ない。

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