窮地・スルガ銀、報告書が明らかにする「実態」 第三者委員会が今日公表、ポイントは?

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だが、いったん決算を発表した後、3週間程度でできることは限られている。追加引き当ては、シェアハウス関連と同じ不動産会社がかかわったなどの視点に基づくもので、個々の借り手や物件について現状を調べて反映したものではない。実際、スルガ銀行も2018年4~6月期決算の発表において「今後、業績予想修正の可能性がある」と注意喚起している。

岡野会長の責任追及は必至

創業家として1985年に社長に就任し、2016年から会長職にある岡野光喜氏が経営責任を問われることは必至だ。岡野氏だけでなく米山明広社長、白井稔彦専務と代表権のある3名はそろって責任を取って退任する方向だ。

2008年、ゆうちょ銀行との提携会見に登壇した岡野光喜氏(当時社長)。マスコミに登場することはほとんどなかった(撮影:谷川真紀子)

株価は8月に入ってストップ安をまじえながら再び急落し、上場来高値の2割の水準にまで沈んでいる。格付け会社のムーディーズは8月30日、スルガ銀行の長期預金格付けをA3からBaa1に格下げし、さらに格下げ方向での見直し対象としたと発表した。

その後の焦点は金融庁検査の結果や、スルガ銀行が発表するであろう経営陣刷新や再発防止策、ガバナンスとビジネスモデルの改革案に移る。金融庁は不適切融資以外にも、数百億円に上る創業家関連会社への融資の適切性などを問題視しているようだ。

シェアハウス問題とのかかわりは2月には騒がれていたにもかかわらず、スルガ銀行は5月の決算発表まで会見や詳しい説明を行わず、情報開示の消極的な姿勢が批判されていた。今日は本社のある静岡県沼津市のホテルで、15時半から第三者委員会の「解説会」が開かれ、その後17時半からスルガ銀行が記者会見を行う。はたしてどこまで真実が語られるか。

第三者委員会はあくまでステークホルダーの信頼を回復するための支援役であり、調査結果の公表は、自浄作用の発揮に向けた第一歩にすぎない。スルガ銀行の再生への道のりは険しい。

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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