ふくおかFGと十八銀行の統合で起きること

1000億円の債権譲渡で競争環境は保てるのか

8月24日記者会見するふくおかFGの柴戸隆成社長(左)と十八銀行の森拓二郎頭取(写真:共同通信)

宙に浮いていたふくおかフィナンシャルグループ(ふくおかFG) と十八銀行の統合計画は、公正取引委員会が排除措置命令を行わないことを表明して審査を終了したため、計画発表(2016年2月)から2年半を経てようやく前に動き出すことになった。

ふくおかFGと十八銀行は2019年4月に経営統合、2020年4月にふくおかFG傘下で長崎県地盤の親和銀行と十八銀行の合併を計画する。

公正取引委員会が問題にしていたのは、十八銀行と親和銀行の長崎県内の中小企業向け融資のシェアが70~75%と高く、競争圧力も働きにくいことだった。

公正取引委員会が今回、問題解消となると認めたのは両グループが1000億円弱相当の貸出債権を周辺の金融機関に譲渡するという策。これにより、合算シェアは65%に引き下がり、かつ譲渡を受けた金融機関がこれを契機に追加的な貸し出しを行うことが可能になり、統合によって競争を制限することがなくなる、としている。

ふくおかFGと十八銀行は併せて、金利水準を不当に引き上げないことや、県内の中小企業との関係強化に向けた複数の指標を開示し、定期的な第三者からのモニタリングも受けるなどの措置を盛り込んだ。統合のメリットを地域に還元していく姿勢を強調している。ただ、これはあくまでも補完的な要素にとどまる。

ライバル同士が手を組むかたちに

この債権譲渡に効力はあるだろうか。現実に時間がたつと何が起こるだろうか。

ふくおかFGは福岡銀行が2007年に設立、熊本ファミリー銀行(現・熊本銀行)と親和銀行(当時・九州親和ホールディングス)を傘下に収めた。いずれも1990年代末の日本のバブル崩壊、金融危機により体力面で弱っていた銀行を救済統合した形だが、傘下入り後、両行とも貸出金を大きく伸ばしている。十八銀行が傘下入りを決めたのも親和銀行に追い上げられていたという状況が背景にある。

【8月31日11時50分追記】記事初出時、銀行名表記に誤りがあったため上記のように修正しました。

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