コカ・コーラ襲った「豪雨」と「トラック不足」 中国地方の主力工場は稼働再開見込み立たず

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飲料業界ではここ数年、配送トラックの不足や物流費の上昇を背景に、鉄道コンテナで輸送を代替するモーダルシフト(輸送手段の転換)を進めてきた。今年4月には、大手ビールメーカー4社(アサヒ、キリン、サントリー、サッポロ)が、関西・中国から九州への共同モーダルシフトを開始。各グループ会社の飲料メーカーも、そこに相乗りしている。コカ・コーラも物流企業のセンコーなどと組み、2014年から同区間でのモーダルシフトを進めてきた。

だが7月の豪雨によって、JR山陽本線の一部区間が不通になった。8月末からは倉敷から伯備線、山陰本線、山口線を経由して新山口に抜ける迂回ルートでの輸送も行われているが、運転本数が少なく、輸送力は依然不足している。

結局トラック不足がボトルネックに

そのため、トラックでの配送を余儀なくされるという“逆回転”が起こっている。そこにコカ・コーラの工場間輸送も加わり、「配送トラックの奪い合いになっている」(飲料メーカー関係者)状況だ。

東京都内の自動販売機でも商品の遅配の可能性を伝える張り紙が掲示されている(記者撮影)

西日本でトラックがかき集められていることによって、「関東でも配送トラックの数が足りなくなっている」(サッポロホールディングス)。実際に、都内にある飲料メーカー各社の自動販売機の一部では、豪雨や猛暑の影響で商品提供が滞っている旨を説明する張り紙の掲示が9月に入った今も続いている。

配送トラックの慢性的な不足という問題に、猛暑や豪雨などの異常気象というダブルパンチが飲料メーカーを襲った。今回のコカ・コーラの被災は他社にとってもひとごとではない。こうした予期できない状況にどう対応していくのか、飲料メーカーは難しい問題に直面している。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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