好調「ノース・フェイス」を支える富山の技術 ゴールドウイン・西田社長に聞く強さの秘密
そこで7〜8年前くらい前から百貨店内や大型スポーツ用品店内で当社が管理するショップ・イン・ショップ(自主管理売り場)を増やしてきた。これが今の業績につながっている。直営店や自主管理売り場にいるスタッフは、特定の商品の在庫がなければ、お客様のニーズにマッチしたほかの商品を提案できる。
健康志向や環境保全に対する意識の高さなど、今の時代に合っているということが、ザ・ノース・フェイスの人気の背景にあるように感じている。使い捨てではなく、継続的に良い物を持ちたいというお客様に対して、期待を裏切らない商品を作れば長く使ってもらえ、ブランドに対する愛着も生まれる。これが、安定した成長につながると考えている。
――ザ・ノース・フェイス一本足では、リスクも大きいように思います。「ヘリーハンセン」など、ほかのブランドはどのような戦略で育成しているのでしょうか。
直近、最も育成の成果が出ていると感じているのはヘリーハンセンだ。これには、2017年1月の日本における商標権の取得が大きくかかわっている。
1984年にライセンス契約を結んで以降、日本で展開する商品の企画、販売を行ってきたが、制約があり、人気のある機能素材を使った商品企画や日本国内の有名デザイナーとのコラボ企画など、やりたいと思ったことをタイムリーにできないことがあった。
ライセンス商売の難しいところだ。商標権を取得したことで、当社ならではの商品企画力を最大限に発揮できるようになった。
複数ブランドを取り扱う直営店を増やしている
また、ここ10年くらい、ブランド間にあった壁を取り払い、交流を増やすことで、情報交換を積極的に行うようにしている。ザ・ノース・フェイスだけでなくヘリーハンセンや機能性スポーツウエアブランド「C3fit」、ニュージーランドのアウトドアバッグブランド「macpac」など複数ブランドを扱う「ザ・ノース・フェイス プラス」を直営店の1つの形として、2007年から店舗を増やしている。
不思議なもので、防水透湿性素材「ゴアテックス」を使っても、それぞれのブランドのこだわりや素材に対する考え方が反映され、まったく異なるデザインになる。同じ野菜や肉を使って料理をしても、フレンチ、中華、和食の料理人によって味付けが違い、それぞれおいしいというのと同じかもしれない。
――ザ・ノース・フェイスやヘリーハンセンなどアウトドアブランドは好調ですが、エレッセや「ブラックアンドホワイト」など百貨店を主販路とするアスレチックブランドは苦戦しています。
当社は、人気があるプロのテニスプレーヤーやゴルフ選手などに着用してもらい、ファン層の広がりとともに商品の認知も広がって販売が拡大するといった、従来型のスポーツ用品のプロモーションは昔から弱い。ただ、お客様の志向に合ったものを作れば、選手が着ているから欲しい、ではなく、この商品が欲しいと思ってもらえるだろう。
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