トランプ弾劾を狙うカザミ副検事とは何者か

大統領の足元でいったい何が起きているのか

8月21日、コーエン氏の有罪答弁を公表するニューヨーク南地区のロバート・カザミ連邦副検事(写真:REUTERS/Brendan McDermid)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は8月23日、「自分が弾劾されれば、市場は暴落する」と、例によって爆弾発言をした。その発言の真意は、「反トランプ」のアメリカのメディアに対するだけでなく、「魔女狩り」に固執する民主党に対する強烈なカウンター・パンチだと筆者は判断している。

この連載の一覧はこちら

この爆弾発言が炸裂する直前の8月21日、トランプ氏の個人弁護士だったマイケル・コーエン氏が「キャンペーン・ファイナンス法」違反に関して、「トランプ大統領の指示があった」と認めたことがテレビを通じて大々的に公表された。このコーエン氏の有罪答弁を公表したのは、ニューヨーク南地区のロバート・カザミ連邦副検事。「トランプ弾劾」を執拗に狙う人物である。

大統領弾劾は法律的というより政治的な手続き

アメリカの刑事訴訟において、有罪答弁は司法取引上のごくありふれたものだ。それを公表した連邦副検事は、検察に課されている挙証責任を果たしているわけではない。法的にも強い立場に立っているわけでもない。執拗に大統領弾劾を狙っているだけである。

ただ、大統領弾劾というのは、法律的な手続きというよりも、政治的手続きと呼ぶべきものであり、カザミ連邦副検事の動きを楽観視すべきではない。トランプ大統領も、そのことは百も承知である。だからこそ、「自分が弾劾されれば、市場が暴落する」という政治的な爆弾発言を、あえてしてみたのだろう。

有罪答弁を行ったマイケル・コーエン弁護士(写真:REUTERS/Mike Segar)

コーエン弁護士の有罪答弁の発端は、4月9日、FBI(連邦捜査局)が、コーエン弁護士の法律事務所、自宅、長期滞在先ホテルに家宅捜査に入ったことに始まる。そのときに押収した証拠が、今回の有罪答弁に直結している。

この家宅捜査という強制処分を実行したのがニューヨーク南地区・連邦検察局だった。当時、本件の家宅捜索は、「ロシア疑惑」を追及しているロバート・ミュラー特別検察官からのリファーラル(照会委託)によるものだった。

つまり、家宅捜索の実行作戦を考えたのは、もともとミュラー特別検察官だったが、その家宅捜査は、「ロシア疑惑」とは無関係なため、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官は、この案件をミュラー氏の手から取り上げ、ニューヨーク南地区・連邦検察局に委託した、というのが事の真相だ。

次ページトップが捜査を忌避
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 角田陽一郎のMovingStudies
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT