アメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領による歴史的な米ロ首脳会談がフィンランドのヘルシンキで開かれたのは、1カ月前の7月16日だった。その直後に行われた米ロ首脳共同記者会見の内容を含めて、トランプ大統領に対する評価はさんざんだった。反トランプ・メディアによる非難の集中砲火を一身に浴びた。
しかし、トランプ大統領は、そんな反トランプ・メディアの非難をものともせず、泰然自若として政務に取り組んできた。現に、トランプ政権に対する全米支持率は、米ロ首脳会談と共同記者会見の直後から下がらず、その後、高めに推移している。
アメリカ国民の「メディア離れ」
筆者は、米ロ首脳の共同記者会見をリアルタイムでつぶさに見たうえで、その後のメディアの報道ぶりとトランプ大統領の対応とを比較検討してみた。その結果、わかったのはアメリカの一般世論がメディア報道とは正反対の方向性を示し始めているということだ。
アメリカのメディアの反トランプ報道に慣れっこになっている日本の読者諸氏には、「何を奇想天外な」と驚かれるかもしれないが、筆者の分析によれば、後世の歴史家たちは、今回の米ロ首脳会談を「2つの核戦争」を未然に防いだとみなす可能性が高いと読める。
その「2つの核戦争」はと言えば、1つは、イスラエル対イランの将来的な核戦争であり、もう1つは、米ロ核戦争の危機である。
まずイスラエル対イランの核戦争から解き明かそう。イランが核兵器を完全に持つには物理的に時間がかかるという点はあるが、バラク・オバマ前政権が作成した「イラン核合意」なるものは、イスラエルに対してイランとの核衝突への懸念を与えていたといえる。
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