トランプは「2つの核戦争」を未然に防いだ? 米ロ首脳会談の成果を高く評価するべきだ

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その証拠として、安倍晋三首相がイスラエルで経験したエピソードを紹介しよう。安倍首相は持論として、日本は原油輸入を通じてアラブ諸国のお得意先であり、同時に、イスラエルとも親しい関係にあるので、両者の政治的な仲立ちを自らのリーダーシップでできると踏んでいた。

そういう個人的な外交哲学に基づいて、今年5月初めにイスラエルを訪問した。一夜、ネタニヤフ首相夫妻は安倍首相夫妻を4人だけの夕食会に招き、豪華な料理でもてなした。

「空っぽの靴」の意味とは?

その夕食会の最後に出されたデザートのチョコレートは、金属製の光沢のある紳士靴を模した、アート作品の「器」で出された。それはいったい何を意味しているのか。日本のみならず海外のネットも、テーブルに靴を載せてデザートを出すのは失礼だという意見が多かったが、筆者の意見はまったく異なる。

まず、「空っぽの靴」は何を意味するのか。それは戦争などの悲劇で亡くなられた方々を象徴している。兵士の靴ではなく、空っぽの紳士靴だったということは、国が絶滅する危機に直面していることを示唆している。その意味するところが核戦争でなくて何であろうか?

安倍首相は昭恵夫人と、にこやかにチョコレートを食された。その時、安倍首相ご自身は、そのチョコの甘さではなく、イランとイスラエルの間の仲立ちを自らのリーダーシップでとれると考えた思いの、非現実的な甘さに気づいただろうか。

実は、このデザートを両夫妻に出したのは、イスラエルでセレブとして名高いスター・シェフのロシア人料理家だった。その意味では、ロシアのプーチン大統領には、この「空っぽの紳士靴」の意味も、イスラエルの危機感の深さも、手に取るようにわかっていたに違いない。

他方、トランプ大統領はイスラエルやイランに対してどう対応しているのか。シリアの化学兵器使用に対するミサイル攻撃に際して、トランプ大統領はジェームズ・マティス国防長官と綿密に打ち合わせをしたうえで、シリアの化学兵器製造工場などへのミサイル攻撃について、シリアに展開しているロシア軍やイラン軍が被弾しないよう、万全のシステムを事前に組み立てていた。

アメリカの政治雑誌『ザ・ヒル』によると、ヘルシンキでの米ロ首脳会談の2日前、イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ大統領と電話会談で、シリアにおけるイラン軍の緊張した状況に関して、精密に打ち合わせをしたという。

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