社員を大切にする会社は「福利厚生」でわかる 副業からリモートワーク、社食無料提供まで

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このように、会社側も社員に愛情表現が伝わるよう、制度を試行錯誤しています。このような制度やその制度を導入した背景を知ることが、働きやすい会社を選ぶうえで重要だと言えます。

――「愛情表現がうまい会社」はどのように探せばいいのでしょうか。

2つの探し方があります。

秋山 輝之(あきやま てるゆき)/ベクトル副社長。1973年東京都生まれ。東京大学卒業後、1996年ダイエー入社。人事部門で人事戦略の構築、要員人件費管理、人事制度の構築を担当後、2004年からベクトル。組織・人事コンサルタントとして、のべ150社の組織人事戦略構築・人事制度設計を支援。元経団連(現日本経団連)年金改革部会委員。著書に『実践人事制度改革』『退職金の教科書』 (写真:ベクトル)

1.  口コミサイト等から働く環境、退職理由に関する情報を収集

口コミサイトのような情報サイトは、リアルな職場の声を確認する有効なツールです。一方、情報がネガティブなものに偏りがちな点、企業全体の印象とは異なる情報も多く含まれる点を注意して、活用することが重要です。一つの口コミではなく、複数の口コミで書かれている内容は、ある程度信憑性が高いと考えていいでしょう。

また口コミサイトの情報は、その会社を退職・または退職を考えている方が書いたコメントが基本です。その中でも、やはり愛情豊かな会社だと感じる会社には、口コミサイト上でも、在職中の会社に感謝することが伝わるコメントが多いものです。

自信ある取り組みは対外的にも発信している

2.  採用情報以外にもニュース記事やプレスリリースを確認

愛情を伝えるのがうまい会社は、福利厚生制度を整備するだけではなく、従業員や従業員候補(採用市場)にしっかりと伝えることの重要性を、強く認識している会社でもあります。ユニークな福利厚生の取り組みを、IRニュースや企業サイトを通じて社内外向けに発信している企業は、自社の取り組みに、自信をもっているとも言えます。

もちろん中には採用を目的にした、利用実態の少ない”はりぼて”のような施策もあるかもしれません。そのようなケースは、自社の従業員があまり閲覧しない、「採用サイト」だけに掲載されているケースも散見されます。自社のホームページにも、人事制度や福利厚生の取り組みを掲載している会社は、より社員に対して意識的に愛情を伝えようとしている、社員満足度を高めることに重点を置いている企業と言えるでしょう。

もし会社選びにおいて「福利厚生」を重視している方は、その会社の制度、環境に関して、広く情報収集することを勧めたい。求人情報の福利厚生欄だけを見ていては、本当に働きやすい会社を見落とすことになってしまうので。

川畑 翔太郎 UZUZ COLLEGE(ウズウズカレッジ) 代表取締役

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かわばた しょうたろう / Shotaro Kawabata

1986年生まれ、鹿児島出身。高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻。大学卒業後、住宅設備メーカーINAX(現・LIXIL)に入社。1年目からキッチン・洗面化粧台の商品開発に携わるも、3年目に製造へ異動し、毎日ロボットと作業スピードを競い合う日々を送る。高校の同級生の誘いと自身のキャリアチェンジのため、「UZUZ」立ち上げに参画。第二新卒・既卒・フリーターといった20代若者への就業支援実績は累計2,000名を超える。2024年よりIT/DX分野の教育研修事業「ウズウズカレッジ」を分社化し代表取締役に就任。就活メディアはこちら、X(旧Twitter)はこちら、YouTubeはこちら

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