愛犬が交通事故に遭っても「物損」扱いのなぜ 悲しみは増すばかり「減点や罰金ありません」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

飼い主にとってはつらい事実だ。減点や罰金などの処分すらないのでしょうか。

「道路交通法上、動物をひいた場合に関する規定はなく、原則として減点や罰金などの罰則が科せられることもありません」

この他、法的な問題は考えられないでしょうか。

「危険防止等措置義務」と「報告義務」

「動物との交通事故は、車両等による物の損壊として『物損事故』となります。道路交通法72条第1項は、物損事故を起こした者にも『危険防止等措置義務』と『報告義務』を課しています。

そして、危険防止等措置義務違反の場合には『1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する』(道交法117条の5第1号)とされ、報告義務違反の場合には『3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する』(道交法119条第1項第10号)とされています。

ですので、ただ物損事故を起こしただけでは刑事責任を問われることはありませんが、危険防止等措置義務や報告義務に違反すると刑事罰を受ける可能性があり得るということになります」

相手が「犬」だからと軽んじず、しっかりと警察に連絡しなければいけないのですね。

「そうです。危険防止等措置義務違反があれば、行政処分の対象となり、免許の点数が引かれてしまうことも考えられます。他人のペットをひき殺してしまった場合には物損事故となりますので、その場から立ち去るのではなく、危険防止措置をとった上で、必ず警察に報告すべきでしょう。

また過失の場合でも、民事上の損害賠償義務を負う可能性はあります。その場合でも飼い主がどのように飼い犬を管理していたのか、事故態様がどのようなものだったか等案件によっては過失割合が問題となるケースは多いと思います」

山田 訓敬(やまだ・くにたか)弁護士
企業法務を中心に企業のトラブル解決に尽力する一方で、個人の交通事故や遺産相続の分野にも力をいれている。特に交通事故事案では、一人でも多くの被害者のお力になりたいとの思いで有志の弁護士らで福岡交通事故相談ダイヤル(無料)を立ち上げその代表を務めています。交通事故相談ダイヤル
事務所名:弁護士法人山田総合法律事務所

弁護士ドットコムの関連記事
「性行為の声うるさい」目立つように「郵便受け」に張り紙…法律違反にあたる?
「事故物件ありませんか」「自分も冥界が近い」自発的に入居するのはどんな人たち?
災害時、「ペット」と離れ離れにならず、一緒に「避難」するために知っておくべきこと

弁護士ドットコム
べんごしどっとこむ

法的な観点から、話題の出来事をわかりやすく解説する総合ニュースメディアです。本サイトはこちら。弁護士ドットコムニュースのフェイスブックページはこちら

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事