客が半額より「2個買えば1個無料」を好む理由 日本はシンガポールよりもケチくさすぎる

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マスメディアが日本ほど発達していないシンガポールでは、紹介制度(リファーラル)が活用されることがよくあります。お客が連れてきた友人が商品やサービスを購入すると、紹介者に商品券やサービスなどのお礼があるのが一般的なのです。顧客獲得コストをCMやPRなどでマスマーケティングにかけるのではなく、新規顧客や紹介者に還元する仕組みです。

もちろん日本でも「友達紹介キャンペーン」はごく一般的にあります。しかし、シンガポールではエステなどの美容サービスだけでなく、子どもの習い事など広範囲にわたるのと、紹介者へのお礼や新規の顧客に対するさまざまな優待が手厚いのが特徴です。

それがどれくらいすごいかというと、原価を除いた利益すべてを紹介者と新規顧客に還元するくらいのイメージです。また、アンケート回答やレビューを書いてくれた人に対する還元も非常に大きいのです。これによって、自社でセールスパーソンを持たずとも顧客がセールスパーソンになってくれるからです。

日本の紹介キャンペーンは全体的にケチくさい

さすがに最近は日本のインターネットサービスでも、友達紹介キャンペーンの金額が大きくなっているようです。しかし、シンガポールと比べると、まだ全体的にケチくさい印象があります。「ケチくさい」というのは、そのキャンペーンを利用して友達を紹介しようと思えるほど、お得ではないからです。

それを考えると「1FOR1」は紹介する側、される側もメリットが大きく、しかも説明をする手間もないので、プロモーションにおけるマジックワードなのです。特に、お金や数字に敏感な中華系シンガポーリアンと一緒にいると、「1FOR1」のメニューを食べようということになって、選択肢の余地もなくなるほどです。シンガポーリアンと結婚した日本人の友達は、「パートナーと食事に行くと、1FOR1で食べるようによく強要される」と文句を漏らすほどです。

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