「時価」で売るプロ野球チケットは浸透するか

価格コントロールが球団経営にもたらす効果

楽天イーグルスはチケットの「時価」導入による入場者数増加とともに、本拠地の楽天生命パーク宮城を誰もが楽しめるボールパークへと進化させる取り組みを進める(筆者撮影)

まもなく子どもたちの夏休み期間も終わる。プロ野球の球場では夏休み中の小中学生の姿が目立った。

一般的に土曜休日よりも入場者数が少なくなる傾向にある平日でも、小学生を連れた家族だけでなく、中学生同士のグループなどを球場で見かける機会が多かったのも夏休みの特徴だ。大学が夏休みに入り、筆者も球場に足を運ぶ機会が増えた。

筆者が試合観戦をする際には、球場窓口などでチケットを購入することもあるが、あらかじめインターネットでチケットを予約し、球場やコンビニエンスストアで引き換えるのが常だ。

パ・リーグでは、入場者数があまり多くない対戦カードの平日の試合は料金が安くなる場合がある一方、人気の対戦カードやユニフォーム全員配布が行われる試合などでは高くなることが多い。

プロ野球をはじめとするスポーツでは長年にわたって、開幕前に決定した一律価格に基づいてチケットの販売を行ってきた。だが、パ・リーグでは試合ごとにプロ野球のチケット料金は変わることが多い。それはなぜか。

ダイナミックプライシングとは何か

6月1日、三井物産62.6%、ヤフー34.0%、ぴあ3.4%の出資によって新会社ダイナミックプラスが設立された。同社はコンサート、スポーツ、テーマパーク、催事等の各種興行チケットや、ホテル、配送、駐車場等のサービス産業に対して人工知能(AI)を活用した「ダイナミックプライシングサービス」の提供を事業とする。

AIが、掃除機などの家電や自動車、ロボットなどで広く活用され、これまで人間の勘や経験に頼ってきた業務への応用も広がりを見せているように、サービスの価格をAIが決める手法が注目を集めているのだ。

「ダイナミックプライシング」とは需要が多い時には価格を引き上げて需要を抑制し、反対に需要が少ない時には引き下げて需要を喚起する技術やサービスのことである。在庫を保持できないサービス業において、需要予測に基づいて、サービスの販売価格を変動させることによって、収益の最大化を図る経営戦略手法「レベニューマネジメント」の一種である。

プロ野球でも、開幕前に確定する曜日や対戦相手だけでなく、チーム順位や天候、販売実績、ファンクラブの会員数など開幕後の情報を併せて分析することで、きめ細かい価格設定を行って、需要(購入希望者数)をコントロールし、チケット販売収入を最大化する仕組みが試されるようになってきた。

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