AIG系、大和…生保を襲う株安地獄、業界再編の行方も混迷深まる
迷走するAIGの国内3生保売却問題
スター生命とエジソン生命は、伝統的国内生保のミニチュア版にすぎない。営業職員制度という生保が抱える宿痾をそっくり内包し、事業の発展性は乏しい。規模こそ違うが大和生命もビジネスモデルは同じだ。
ここ数年、外資系保険会社が日本の生保市場に続々と参入してきたが、狙いは変額年金市場で、スター生命などが主力とする死亡保障ではない。損保系生保も、伝統的国内生保と異なる成長経路を模索しており、今さら旧来の営業職員制度を抱えるとは思えない。
09年1月にスター生命とエジソン生命は合併を予定しているが、仮に計画どおり事が進めば、単純合算で保険料等収入6000億円、総資産4兆3000億円という業界14位のAIG生命が誕生する。2社はともに1999年、00年に破綻した千代田、東邦生命の資産を引き継いだ折にウミを出し切っているとみられ、財務的な健全性は高い。売却価格は2社合計で数千億円との観測もあるが、AIG系3社は破綻したわけではない。解散価値≒売却価格と見積もるならば、最近の株価下落、円高による資産の毀損を考慮に入れても2兆円超には達するはずだ。
ただ、日本市場において今後の成長が期待できるのは、総資産6兆円超、保険料等収入1兆4657億円の、業界6位のアリコジャパンだけだ。通販(ダイレクト)のみならず、営業職員、コンサル、代理店と四つの販売チャネルを抱え、国内生保と一線を画すビジネスモデルを確立しているためだ。
ただ、アリコジャパンは、この5年ほどで変額年金の販売を積極化させており、それがどのように責任準備金に影響してくるのか不透明な部分も多い。また、アリコジャパンは米アリコの日本支店にすぎないことにも注意が必要だ。現行の保険業法では地域ごとや商品ごとなど、分割することによって予定利率等の条件が異なる事業分割は禁止されている。つまり、アリコジャパンを買収するには、米アリコも買収しなければならない可能性が高い。だが、米アリコがどのような資産を保有しているか不透明な部分が多すぎ、実際の資産査定をするまで将来性を語りにくいことも確か。金融庁は保険会社が機動的に動くことが可能なように、分割譲渡もできる制度創設の検討に入っているが、結論が固まるのは当面先とみられる。