ディズニー「映画コンサート」に注力する理由 スター・ウォーズで公演、新しい映画の見方

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スター・ウォーズを制作するルーカスフィルムが、米メディア大手・ウォルト・ディズニー・カンパニーの傘下となったのが2012年。ディズニーは2015年、約10年ぶりにシリーズ新作を制作するなど、スター・ウォーズでも新しい展開を進めてきた。今回のシネマコンサートも、ディズニーならではの仕掛けといえるだろう。

実はディズニーは近年、スター・ウォーズに限らず、シネマコンサートを積極的に手掛けている。日本で本格展開を始めたのは2017年からで、「アメリカなど海外で開いたものは、ほとんど日本に持ってきている」(日本法人のウォルト・ディズニー・ジャパン)。

「ファン作りのエコシステム」

その狙いについて、同社で音楽・ライブエンターテインメント部門のバイスプレジデントを務めるシェイクスピア悦子氏は、「ゲスト(顧客)の予想を超える新しい体験を提供すること」を挙げる。「ディズニーの作品の多くは音楽が真ん中にある。その音楽を生で聴くことは、これまでにない“感動体験”になる」(同)。

上演の合間にダース・ベイダーと記念撮影(撮影:星野麻美)Presentation licensed by DISNEY CONCERTS in association with 20thCentury Fox, Lucasfilm and Warner/Chappell Music.© 2018 & TM LUCASFILM LTD. ALL RIGHTS RESERVED © DISNEY

“感動体験”の手段はさまざまある。ディズニーはCG(コンピュータグラフィックス)や3D(3次元)映像、VR(仮想現実)など最新テクノロジーを駆使する。ただ、シネマコンサートに関して重視するのは、「アナログの体験」。その場でしか体験できないライブ感が、新しい価値を生んでいく。

もともとディズニーは「ディズニー・オン・クラシック」や「ディズニー・オン・アイス」など、多くのライブエンターテインメントを手掛けている。そのディズニーが映画とライブを組み合わせることは、自然な流れだったようだ。

シネマコンサートのもう1つの狙いに、コアファン作りがある。「さまざまなタッチポイント(ゲストとの接点)を持つことが、ファン作りのエコシステムになる」(シェイクスピア氏)。そうした中で、シネマコンサートはコアファンに向けた重要なタッチポイントになる。実は同氏は音楽・ライブ部門のほかに、クレジットカード会社との提携事業も所管する。ディズニーのカードを持つゲストも熱心なファンが多い。音楽とライブ、カードを同じ組織で担当することに、ディズニーの戦略が垣間見える。

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