ディズニー「映画コンサート」に注力する理由 スター・ウォーズで公演、新しい映画の見方
今回、運営を担当したプロマックスの飯島則充プロデューサーは、シネマコンサートの特徴を「映画と音楽が対等な関係にあること」と語る。「指揮者に求めるのは曲の始まりと終わりを映像に合わせることだけで、それ以外の表現はすべて指揮者に委ねている。結果的に、音楽の情感が際立つ」(同氏)という。
コンサートやイベントを制作する同社は、シネマコンサートの公演に力を入れる。その数は2015年に2作品3公演、2016年に2作品8公演、2017年に5作品18公演と年々増えてきた。今年は上半期のみで4作品26公演が実施される予定。ディズニー作品に限らず、『ゴッドファーザー』や『ニュー・シネマ・パラダイス』など、著名な旧作を中心に手掛ける。料金は1作品で大人7800円~9800円という設定だ。
背景に映画産業の変化がある
なぜ、ここまで増えているのか。要因の1つは映画産業の変化だ。映画産業に詳しい早稲田大学の土田環講師は、「映画館の入場者数が最も多かった1958年の1人当たりの映画鑑賞本数は12.3本。2015年時点では1.3本まで減少している」と指摘する。さまざまな娯楽が増えたことに加え、動画配信の「ネットフリックス」や「フールー」などの登場で、家庭でも気軽に映画を楽しめる機会が増えたことも影響している。
映像の3D化や観客参加型の「応援上映」といった上映方法、カフェ・レストランや野外といった上映場所での工夫など、業界では試行錯誤が繰り返されている。オーケストラを用いることで、音の付加価値を最大限高めたシネマコンサートは、映画の進化の一歩と言えるかもしれない。
とはいえ、日本でのシネマコンサートの認知度はまだまだ低い。これまでの公演の多くは東京、大阪、名古屋といった大都市に限られてきた。
それだけに「スター・ウォーズ・イン・コンサート」の持つ意味は大きい。このツアーは7月29日のプレミア公演を皮切りに、全国7都市で計14公演開催される。プロマックスの飯島氏は「スター・ウォーズという熱狂的なファンを多く持つ作品を通じて、全国の人にシネマコンサートを体験してもらいたい」と語る。「逆にスター・ウォーズでダメなら、ほかのどの作品でも難しいだろう」(同氏)。
ディズニーのシェイクスピア氏も、今後の展開について「地方も含めて、(シネマコンサートを)どんどん広げたい」と語る。シネマコンサートはどこまで広がるのか。映画における新しい価値の模索が続いている。
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