29歳の時に、人々が不要なものをオークションで売買できるしくみを開発。それが後のイーベイになる。ガールフレンドのキャンディー・ディスペンサーが最初に売れたものだったというのが有名な話だが、それは広報担当者の作り話。サイトで最初に売れたのは、本当は壊れたレーザー・ポインターだったという。金を払ったのは、壊れた機器ばかりをコレクションしていた人物である。1995年のことだ。
その後、またたく間にイーベイが爆発的人気を呼んだのは、シリコンバレー的おとぎ話のひとつだ。イーベイは3年後にIPO(新規株公開)を果たし、オミディアーは一夜にしてビリオネアーになった。
40以上の団体を支援
その後のオミディアーは、まったく世間から目立たない存在だった。シリコンバレーから退いてハワイに移住し、メディアにも登場しない。だが、実はジャーナリズム関係者には、彼が創設した投資組織オミディアー・ネットワークはよく知られていた。ジャーナリズムをまもるために活動する数々の非営利財団に寄付を行い、間接的にジャーナリズムをサポートしてきたからである。
たとえば、寄付を受けている中にサンライト財団がある。これは、政治家の活動資金源や政治献金提供者の情報を公開する組織。また、コード・フォー・アメリカは、地元政府の情報を公開し、市民が政府の行動をクリアーに把握できるようにする活動を行う組織だ。オミディアー・ネットワークがサポートしている非営利組織は、上記も含め40以上に上る。
また、地元のハワイでは、地元政府の番人を目指したメディア『ホノルル・シティービート』を2010年に創設した。これは、地元に特化したメディアとオンラインだけのメディアというふたつの意味で、新しいジャーナリズムを実験するものだ。
そして、世間を驚かせたのは、このたびの新メディア創設の計画だ。ただ、上記のようなバックグラウンドがあるので、ジャーナリズム関係者にとってはうなずけるところが大きかったようだ。ただし、これまで表に出てこなかったオミディアー自身が乗り出して、本格的に新しいジャーナリズムのあり方に賭けるものとして、大いに注目されているのだ。
新メディアが目指す”レベル”
まだ名前は付けられていないものの、この新しいメディアはオンラインだけで展開されるものになる。そして、中心となるジャーナリストの顔ぶれを見れば、それが目指すレベルは一目瞭然だ。
ひとりは、エドワード・スノーデンによるNSA(国家安全保障局)のリークを最初に報じたグレン・グリーンワルド。彼は、元イギリスの新聞『ガーディアン』の記者だ。
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