熱中症予防でも帝京ラグビー部が最強なワケ 日々の「健康チェック」の仕組みが参考になる

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体調チェックは、オフ以外はすべての日に実施される。これはスタッフだけでなく、選手自身が自分の体調を見つめ直すセルフチェックをすることにもつながる。熱中症など突然の体調不良への注意喚起を促したい大木さんは選手にこう伝えている。

「いつもと違うこと(因子)が3つあると、何かが起きるよ」

今であれば、すでに酷暑という「いつもと違うこと」が1つ。そうなると、あと2つでも異常があると熱中症の可能性が高まることになる。そのような因子は、寝不足や食欲不振、消化器官の不調や心的ストレスなど多岐に及ぶ。

「今だったら、就活中の4年生と、テスト勉強で寝不足の子が心配ですね。心的ストレスはたとえば、家族に関する悩みごととか人間関係でしょうか。付き合っていた彼女に振られても気持ちは落ちますよね。そういった情報もスタッフから流れてきます。特になぜか監督は詳しいです(笑)」(大木さん)

選手個々の状態を把握することが重要

その日の気温など外的因子のチェックと同じくらい、スポーツをする前に選手個々の状態を把握することが重要だ。

選手管理という側面からいえば、すでに入部したときから熱中症対策は始まっている。1年生が入学してすぐに行う春のメディカルチェックでは、過去に熱中症にかかった経験があるか、どの程度だったか、当時原因とみられるものは何かといったものまで洗い出す。一度かかると、繰り返す傾向があるからだ。1つの学年で、平均して1~2人は罹患者がいるという。

その2 水分補給3原則「3種の水を・冷やして・渇く前に」

何を、どんなふうに、いつとるか。水分補給も準備が大切だ。まず、練習や試合時に用意する「水」は3種類。

① スポーツ飲料を水で割ったもの(糖度6%のものをおよそ3%まで薄める)
② 経口補水液を水で割ったもの(氷を入れる程度)
③ 真水

スポーツ飲料を水で割るのは、運動中の水分補給で甘い味が苦手な部員がいることと、ペットボトル症候群予防も兼ねる。運動しているとはいえ、糖分を摂取しすぎると糖尿病になることもあるのだ。スポーツ飲料に苦手意識のない子どもの場合、運動時だけであればそのまま与えてもいいだろう。

これら3種類はすべて冷やしたもの。内臓への負担などを考慮して水分補給は常温でという説もあるが、帝京は「飲みやすさ」を重視する。大木さんによると「選手が飲みやすい状態を考えると、やはり氷などで冷やしたものがいい」という。まずは飲んでもらわないといけないからだ。

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