熱中症予防でも帝京ラグビー部が最強なワケ 日々の「健康チェック」の仕組みが参考になる
8月は中高生の全国大会が目白押しだ。1日から全国高校総体(東海地区)、5日からは夏の甲子園が開幕。中旬からは全国各地で全国中学校体育大会が開催される。それ以外の生徒やスポーツ少年なら「夏合宿」というイベントが待ち受けている。
「災害酷暑」といわれる暑さの中、スポーツに打ち込む人たち、特に子どもたちはどう「熱中症リスク」と戦えばよいのか。
選手の健康管理に定評のある帝京大学ラグビー部でアスレティックトレーナーの大木学さん(46)に対策を聞いてみた。ラグビーといえば、屋外で行うスポーツの中でも運動強度が高く、過酷なスポーツのひとつだ。リスクマネジメントの難易度もおのずと高くなる。ところが、
「きちんと準備すれば、熱中症はほぼ100%予防できます」
大木さんから開口一番、出てきた言葉に驚かされた。スポーツ関係者や専門家は「個々の体調もあるので予防は難しい」と話すのに……。100%の根拠とは。全国大学選手権10連覇を目指す王者の、眼からウロコの3つの準備術をお伝えする。
驚くほど詳細な「毎日の体調チェック」
その1 アプリ活用「体調チェック」
帝京大学ラグビー部の部員たちは「コンディションチェック」というタイトルのアンケートに毎朝応じる。グーグルアプリを活用して作成されたアンケートは、睡眠時間や排便、食欲など8つの質問に加えて、痛みのある体の部位も知らせる。体調に関するヒアリングを実施している大学運動部は他にもあるが、同部のチェックはより視点が鋭く、質問項目も多岐にわたる。
特筆すべきは、前日の練習をどう感じたかという「昨日の練習強度(主観的)」や、自分の体調をどう感じているかの「主観的疲労度」の情報まで吸い上げる点。ほかの選手が「普通のメニュー」と感じているのに「きつかった」と答えれば、そこに何らかの不調が隠れていると考えられるからだ。
個々の情報は選手のスマートフォンから瞬時のうちにスポーツ栄養士2人とトレーナーに送られる。そして、それをエクセルで整理したデータは、監督、コーチらに配信される。練習や試合前までに「本日の練習(試合)で目配りすべき選手」のリストがスタッフ全員で共有される。
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