熱中症予防でも帝京ラグビー部が最強なワケ 日々の「健康チェック」の仕組みが参考になる

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彼らには「熱中症になってしまったらどうなるか」と具体的に説明する。救急搬送など、重症なケースは、リカバリーに1週間以上かかる。具合が悪くなってすぐに休めばその日休養するだけで済むかもしれない。我慢したほうがダメージが大きい。そういったことだ。

予防のために準備できるアスリートになろう

ラグビー選手は痛くても頑張るのが美学だったりする。そこで、大木さんは選手に話す。

「痛いのを我慢するのは誰にでもできる。でも、そのあとのリスクを見越して、予防のために準備できるアスリートになろう」

熱中症リスクと戦う大木さんらを、岩出雅之監督(60)も支える。7月、気温36度のなかで行われた練習試合では、その日の気温上昇を見越して、試合前に「体調管理を重視し、自分の試合ではないときは建物の中から試合を見ることにしてもいい」と、女子マネジャーも含め部員全員に申し渡した。

大木さんは「あのような指示は助かります。チームで権威を持つ人、つまり監督のような立場の人が熱中症予防に対して敏感であることがチーム全体に伝わる。暑くても仲間がやっているんだから外で見なさいという指導者のほうが多いと思う」と感謝する。

つまりはチーム内に「ボク、ヤバいです」と遠慮なく言える人的環境をつくること。そのためには、スタッフと選手間のフラットな関係を築くことも重要だ。目には見えないが、大事な準備に違いない。

岩出監督は「この夏は異常。臨機応変にやらなくては選手を守れません。うちは大木さんを中心にスタッフ全員がしっかり準備してくれているので助かります」と目を細める。

今からでも遅くはない。ぜひ王者の準備術を参考に、アスリートを熱中症から守ってほしい。

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