小さな本屋が紀伊國屋本店と勝負できるワケ 弱者の兵法「スモール・スタート」の力
僕がしたように、「1冊縛り」という条件を設けるのも、そこにある「扉」を際立たせる作戦のひとつです。僕が失敗した(梅田本店に負けた)のは、扉を見つけるところまではできたけど、自分の頭の中にしかない「扉を開ける鍵」をうまく使えなかったからです。
「扉」は、どんな壁にもあります。「鍵」も必ず頭の中にあります。
そう決めておくと、果てしなく高くどこまで続くかわからない壁を遠くから見ているだけ、ということにはなりません。“あるに決まっている”扉を探すため、どんどんと壁に近づいていくのみです。
壁に近づいていくと、僕と同じように扉を探しに来ている人と出会うこともあります。そして「ここから向こうには扉がないことは確認済みだ」といった情報をくれることがあります。後から来た人が「私も扉探しを手伝います」と言ってくれることもあります。
すると一人で探すよりも早く、扉が見つかります。
いつか「正しい鍵」は見つかる
その扉が、「vs.梅田本店」「『SHOE DOG』一本勝負」のような制限付きのものだったとします。
次は鍵を開けるのみです。でも、まずは鍵がかかっているかどうかの確認が必要です。重々しい扉に見えて、施錠されていないかもしれません。押すタイプに見えて、引き戸かもしれません。開かなさそうと思っていると「試すこと」を忘れがちですが、開くことを前提にしていれば、あらゆる方法を自然と試すことになります。
それでもどうやら鍵が必要そうなら、この鍵もまた、どこかへ探しに行きます。自分の頭の中、壁の前で出会った仲間の頭の中、あるいは、この扉探しとは無関係の友達の頭の中、いろいろなところに鍵を探し、これだと思ったら試し、違うとわかったらまた違う鍵を探す。その繰り返しです。
そうして諦めずにいれば、いつか正しい鍵を手にすることができます。すると、乗り越えるには高すぎる壁を、扉をくぐるという方法で越えられます。“紀伊國屋書店”という壁の前で出会った人たちは、僕と同じことを考えている仲間です。
だからその仲間たちの店をネットワーク化し、せーので「vs.梅田本店」「『SHOE DOG』一本勝負」を挑めば、それが鍵になるような気もします。一人ではできないことも、仲間がいればできるということはたくさんあって、ではどこでその仲間に出会えるかといえば、越えたい壁の前です。
だから僕は、壁を見つけたら真っ先にそこへ駆け寄ることにしています。
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