「お茶」と世界の歴史の意外にも深すぎる関係

アヘン戦争やアメリカ独立戦争の裏側にも

このとき、旧幕臣の勝海舟が目をつけたのが、江戸時代から駿河の名産であった「チャ」であった。輸出品としてのチャの可能性を感じていた勝海舟は、武士たちを荒地に入植させ、チャの栽培を奨励する。この武士たちの開墾が礎となって、荒地は、後に日本一の大茶園と呼ばれる「牧之原台地」となる。

そして、このチャの輸出が外貨を得て、日本は近代化の道を進んでいく。

インドの紅茶の誕生

現在、紅茶というとダージリンやアッサムなどインド産が有名である。

アヘン戦争の後、イギリスは、中国に依存しすぎたチャの入手先を見直す必要性を感じ始める。そして、植民地としていたインドでのチャの栽培を試みる。

ところが、中国のチャは、インドではうまく育たなかった。インドは、中国のチャを栽培するには暑すぎた。

1823年、イギリスの探検家ブルースが、インドのアッサム地方で、あるチャの木を発見する。その後の調査で、このチャは、中国のチャとは別の種類であることが明らかとなった。

現在、チャという植物には2種類あることが知られている。1つが中国で栽培されていた「中国種」と呼ばれるもの。中国種は、寒冷地で生育できるように適応して、葉が小さく変化している。中国では冬の寒さや乾燥に耐えるために、葉を小さくして厚くする必要があった。この中国種は、現在でも中国や日本など温帯地域で栽培されている。

一方、インドで発見されたチャが、現在「アッサム種」と呼ばれるものだ。アッサム種はインドのような暑い気候に適応して、葉が大きい。熱帯のように光合成に有利な場所では、小さな葉を作るよりも、大きな葉を作った方が、生産効率が高い。また、熱帯では葉を食べる害虫も多いため、大きい葉を作らなければ葉を食べ尽くされてしまうことも指摘されている。

中国種とアッサム種は、分類学上では同じ「種」であるとされているが、種の中の亜種として区別されている。

アッサム種は、熱帯では病害虫が多いので、抗菌作用のあるカフェインの含有量が多い。緑茶はアミノ酸の旨味を愉しむ飲み物であるが、紅茶はカフェインの苦味を愉しむもの。そのため、アッサム種は紅茶に向いている。

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