外食・小売りが苦悩、「軽減税率」導入の波紋 レジ改修や価格設定など課題は山積している

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軽減税率の導入で、スーパー各社はセルフレジのシステム対応を迫られる(編集部撮影)

近年、スーパー各社は購入した弁当などを店内の客席で食べられる、イートインコーナー併設店の充実に力を入れる。同コーナーでの飲食については、今回の税制改正では外食と見なされ、10%の標準税率が適用されることになる。

ただ国税庁によると、「イートインコーナーをご利用する場合、お申し出ください」などの掲示で済ませればよいという。「適用税率の判定時期は商品を売ったとき。客が申し出ない時点で軽減税率と判定されるので、気が変わって店内で食べても、税率は変わらない」(国税庁の担当者)。

「低所得者対策なのか」

つまり、商品購入時に「イートインコーナーを利用する」と利用者自らが申し出ないかぎり、税率は8%のままとなる。小売り事業者で構成される日本チェーンストア協会の小濵裕正会長は「申告によって不公平感が出るおそれがある。そもそもイートインコーナーは交流の場を提供する社会貢献の意味合いもある」と憤りを隠さない。

現場の作業負担軽減を目的としたセルフレジの導入も増える中、「店内飲食するかを確認するため、対応するシステムを入れる必要が出てくると、大きなコスト増になりかねない」(スーパー関係者)。

ある外食企業首脳は「1000円以上の高級弁当が税率8%で、300円台の牛丼は店内飲食だと10%。どこが低所得者対策なのか」と首をかしげる。いずれにせよ、外食・小売り各社に残された準備時間はそう多くない。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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