池上彰が説く「女系宮家」という選択の現実味 皇位継承を確保するための諸課題
また、愛子さまや眞子さま、佳子さまが将来、ご出産されて、男の子が生まれた場合は、女系の男子ということになるので皇位継承権はありませんし、そもそも現在の規定ではご結婚されれば、皇室から離脱することになります。
そうなると、今後、皇位継承権を持つ可能性があるのは悠仁様がご結婚をされて、男の子をもうけた場合に限られてしまいます。逆にいえば、悠仁さまとそのお妃から男の子が生まれなければ誰も皇位を継承することができなくなってしまうのです。
このままでは、皇位を継承する人物がいなくなってしまうかもしれない。これが、附帯決議でいわれている「皇位継承を確保するための諸課題」ということです。
「女性宮家の創設」という対策案
では、皇位を安定的に継承するためには、どうすればいいでしょうか。
有力な対応策の1つが、「附帯決議」にある「女性宮家の創設」です。現在の皇室典範では、秋篠宮さまや常陸宮さまのように、宮家になるのは男系男子に限られます。
この法規定を改正して、男系女子でも宮家となって、皇族に残れるようにする。そして、まずは男系の女性天皇を認めるように皇室典範を改正すれば、愛子さま、眞子さま、佳子さまも、皇位継承権を持つことになります。
歴史的には、推古天皇をはじめ、8人の女性天皇がいるのですから、女性天皇が誕生すること自体は伝統に反するものではありません。
最近の世論調査でも、7~8割が女性天皇に賛成しています。安倍首相は、以前から女性宮家の創設には反対しており、男系男子の継承にこだわっていますが、国民感情としては、女性天皇に賛成を示す割合のほうが圧倒的に高いのです。
ただ、「男系女子」の皇位継承を認めたとしても、愛子さま、眞子さま、佳子さまのお子さまは女系になるため、皇位継承権はありません。ですから、皇位継承権を持つ方は増えるけれど、将来的には、悠仁さまがご結婚されて男の子をもうけなければ、皇位は途絶えてしまいます。
そうなった場合には、今度は「女系」の天皇を認めるかどうか、という議論をしなければならないでしょう。しかし歴史的には、女系天皇の例は見られませんから、女性天皇を認めるかどうかという問題よりも、議論は難しくなりそうです。
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