1. 事業の将来性が未知数
良い意味でも悪い意味でも、事業がうまくいくのかは未知数。一見すると、外からはうまくいっているように見えても、舞台裏では案外とうまくいっていないことがある。特にベンチャーは外向けのPRに力を入れているため、事業の実態よりも外部からの評価が高い場合がある。
2. その場しのぎの変化が多い
ベンチャーは経営体力がないことが多いため、事業がうまくいかないとテコ入れも早い。そのため、短絡的に対処するような変化が多く、変化によって状況がより悪化することもある。短期的な対処も必要だが、長期的な視点で対処した方がいい場合でも、それができない場合がある。
3. 事業が軌道に乗ってからくる中途入社組は大企業気質の人が多い
ベンチャーとはいえ、中途入社で入ってくる大企業出身者は年齢も高く、古株の若手社員に対してマウントを取る(上から目線で対応する)ことがある。また、大企業気質の人が増えると減点方式の評価に偏ってしまい、チャレンジよりもリスクヘッジを重視した対応が増えてしまう。つまり、ベンチャーでありながら、中身が大企業化してしまうのだ。
大企業出身者がベンチャー風土を変えてしまう
ただ、篠原さんに次の転職先の希望を聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「もう一度ベンチャーに入ろうと思っています。よりスタートアップに近いところであれば、さらに広い範囲の役割を担える。前職では経験できていない財務・管理会計、経営企画といった領域も経験すれば、経営層に食い込むことも可能になる。もちろん事業内容の成長性、会社のビジョンへの共感度が高いことが重要ですけど」
ベンチャーという環境自体には魅力を感じているため、働く環境をより自身の理想に近づけることを考えているようだった。前職での懸念点を解消すべく、若い組織で経営により近いポジションに活躍の場を移し、業務領域を広げようという篠原さんの顔は3年半前の顔とは違い、自信に満ちていた。
ベンチャー企業に就職、転職するという選択肢が、今後も広がっていくのは間違いない。ただ、できる仕事が増やせるというメリットがある一方で、デメリットがないわけでもない。最後に篠原さんと「ベンチャーに入らない方が良い人」を洗い出してみた。
1. リスクよりも安定、変化よりも現状維持を選ぶタイプの人
2. 成果(実力)ではなく、在籍年数で評価してもらいたい、と思っている人
3. 自身のキャリア設計に「転職」という選択肢がない(終身雇用を考えている)人
4. 採用市場と照らし合わせて、自身の市場価値を高めるための業務選択をしようとしない人
5. 学ぶ姿勢が「自分から」という主体的な姿勢ではなく、「教えてもらう」という受け身姿勢な人
この条件に当てはまるなら、無理にベンチャーを目指す必要はないと思う。大企業には大企業なりの、ベンチャーにはベンチャーなりの良さがある。そのときの自分に合った方を選べばいい。もし、自身のキャリア設計や考えが変わったのであれば、そのときに環境を変えればいいだろう。
ベンチャーを志望するのであれば、一度上記の条件と自分を照らし合わせてみてはどうだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら