豪雨被災地「アレルギー患者」が直面する危機 命にも関わることだが後回しにされている
それでも、名古屋市の協力を得て仙台市に送った7700食分のアレルギー対応食の大半が、一般の支援物資に紛れてしまうなどの混乱も続いた。
しばらくすると「避難所ではアレルギー対応の離乳食が手に入らず、1歳3カ月の卵アレルギーの子に半月ほど硬いおにぎりを食べさせたり、ほとんど卒乳していたのに母乳を何度も飲ませたりして命をつないだ」「避難所でパンやラーメンが出ると食べられないので、近所の避難所を回り、おにぎりを探した」といった悲痛な叫びが伝わってきた。
発災から3カ月後、ようやく被災地に事務局を開設でき、支援が軌道に乗り出したという。
状況は徐々に改善
こうした経験を受け、支援ネットや日本小児アレルギー学会などの関係者は災害時の体制づくりや啓発活動に努めてきた。
今回も学会を窓口に情報を集約、被災から1週間以内には名古屋からアルファ化米500食分を広島市と三原市に送ることができた。しかし三原の「ひだまり」は昨年2月に結成されたまだ新しい団体で、「災害対応はよく学んでいたが、実際の情報発信や集約などで少し混乱があり、こちらでも現地の拠点から先の状況が把握できなかった」と支援ネットの中西里映子常務理事は言う。
【7月19日19時追記】中西常務理事の発言を初出時のものから上記に修正しました。
アレルギー学会災害対応委員会の三浦克志委員長(宮城県立こども病院アレルギー科医師)も「ここまで広域的な災害は東日本大震災以来。被災地も点在しており、支援の態勢づくりにどうしても時間がかかっている」と課題を口にする。
こうした中で、学会は日本栄養士会と連携して18日現在で広島、岡山、愛媛の各県に拠点を確保。栄養士が可能なかぎりアレルギー患者にも直接支援できる態勢をつくっている。「今回の災害で現地をできるだけサポートすると同時に、今後も患者一人ひとりや行政にアレルギー食の備蓄を進めるよう呼び掛けていきたい」と三浦委員長。全国の災害支援ネットワークの情報共有も、ようやく三原市を含む広島東部で活発になり、状況は徐々に改善しつつある様子だ。
アレルギーは突然、大人も発症する可能性がある。今回の対応を一人でも多く「わがこと」として受け止め、次の教訓とするべきだろう。
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