世界が失笑する日本人政治家の服装の勘違い 稲田朋美氏と小池百合子氏の大違いとは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ひょっとすると稲田氏は、冗談で会見の場を盛り上げようとしたのかもしれません。しかし地位と容姿についてあれこれ言及するのは、ビジネスや政治の場ではタブーです。実際、オバマ大統領が在任中、カリフォルニア州のカマラ・ハリス司法長官の容姿を「彼女は聡明で献身的でタフ。アメリカの司法長官としては、ずば抜けて美人だ」と褒めたことが物議を醸し、長官に謝罪する事態が起こりました。能力や業績を軽視し、見た目でのし上がったかのようなことを感じさせる発言は、ビジネスの世界でも政治の世界でも、慎まなければなりません。

2016年の大統領選で、トランプ氏が女性の容姿についての発言を繰り返し、世界中から非難を浴び続けましたが、稲田氏はご存知なかったのでしょうか。

大学生のお嬢さんがその日の装いを決めている

週刊新潮の取材によると、稲田氏は、大学生のお嬢さんからアドバイスを受けて、その日の装いを決めているようです。ひょっとしたら、まぶたに光るピカピカのラメのアイシャドウも、お嬢さんからのアドバイスなのかもしれません。

その稲田氏のお嬢さんはインタビューで、「ピアノの発表会に出るときのスタイルをイメージして母親の洋服を選んでいます」と話していますが、明らかに間違っています。大臣として何を選ぶべきで何を選ぶべきではないかを、経験のない娘さんに委ねるのも誤りです。自分で判断できないのであれば、国の安全や国益を預かる立場にいるときくらいは、経験豊かなその道のプロから助言を得るべきです。

稲田氏は、2017年の東京都議会議員選挙でも、自衛隊を政治利用したと非難を浴びましたが、演説後、多くのマスコミに囲まれ、「どうしてこんなにもたくさんの人たちが集まってきているのですか?」「どういったことを申したかは覚えておりません」と発言しました。自身の発言の重さを理解せず、公務と政務の違いさえわきまえないような姿勢は、そのファッションのスタイルにも、そのまま反映されているようです。

『NYとワシントンのアメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服と仕草』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

2017年7月、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報が隠蔽された問題を巡り、責任を取って辞任した稲田元大臣ですが、2016年9月の「日・米物品役務相互提供協定」(日米ACSA)の署名の際に見せたピンクのジャケットに大きなリボンの姿は、メディアを通し、世界中の人々に、いったいどのように映ったのでしょうか……。

その立場に応じた服装を心掛けることは、国民だけではなく、他国の人々に対しても敬意を払うことになります。世界情勢が不安定になっている現在、日本の政治家の言動もますます注目されています。国を守る組織のトップに立つ者たちが、いつまでも裸の王様のままでいてはなりません。

安積 陽子 ニューヨーク州立ファッション工科大学主任講師/国際イメージコンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

あさか ようこ / Yoko Asaka

国際ボディランゲージ協会代表理事。

アメリカ合衆国シカゴ生まれ。ニューヨーク州立大学イメージコンサルティング科卒業後、Protocol School of Washingtonにて国際プロトコール資格を取得。ニューヨークを拠点にエグゼクティブ、政治家、起業家を対象としたイメージコンサルティングを手がける。

現在はニューヨーク州立ファッション工科大学(Fashion Institute of Technology)にてイメージコンサルティングコース主任講師を務め、世界各国の受講生に教育を行っている。政治家、アナウンサー、文化人、実業家に対するイメージ戦略コンサルティングも手がけ、最新のインプレッションマネジメント手法を提供。

企業や医療機関に向けた非言語コミュニケーション・ボディランゲージ研修、イメージ戦略に関するコンサルティングや講演、執筆活動にも幅広く取り組んでいる。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事