<グローバルエリートからの講評>
社会的名声や報酬よりも、価値観で仕事を決める時代
この「社会的名声の高さや報酬の高さで仕事を選ぶな」という忠告は、どこの国に限らず、若手ビジネスパーソンの永遠のテーマであるように思われる。周囲にうらやましがられ、高収入の仕事の機会に恵まれると、最初は「人生修行の数年だけ」とか自分を説得しつつも、そのままずるずると社会人人生の大半を送り、ある日ふと「この人生、快適だけど、自分の人生ではない」と気づいてしまうのだ。
この手の“人生に重要な自分の価値観との整合性”を仕事に求める人が、最近、随分増えており、だからこそゴールドマンを辞めて社会企業家にとか、マッキンゼーを辞めてNPOをとか、モルガンスタンレーを辞めてパン屋さんを――などの“社会的にエリートとされる仕事を辞めて、わが道を行く”生き方に喝采が送られるのだろう。
これらは「自分もいわゆるエリートな仕事ではなく、本当にやりたいことは別にあるんだけど、勇気がなくて踏み出せない」という多くの人に勇気を与えるロールモデルだからこそ、われらが「東洋経済オンライン」でも“元エリート会社社員による起業体験”のような話が、“グローバルエリートは見た”の次くらいに高く評価されているのだろう。
有名な心理学者のマズローも「衣食住が足りて帰属意識が満たされると、人間は自己実現を求める」と説いているが、これはキャリア選択にも当てはまり、食べていける給料が満たされれば“人生で実現したい価値観”にキャリア選択の軸足が移るのは、自然な流れなのである。
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