あの「足立区」が妙に盛り上がっている理由 名物区長と活躍する女性たち

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モノが流通、集積する地であったことから人の出入りが激しく、多様性を受け入れる素地もあったのだろう。女性が働きやすい土地柄だったのである。

ちなみにそれだけ裕福だった足立区が貧困問題を抱えるようになったのは、昭和30年代以降に多くの都営住宅を受け入れた結果といわれる。区部に約16万7000戸ある都営住宅の約3万1000戸、2割近くが区内にあり、そこで課される所得制限が要因ではないかというのである。

足立区生まれは、なんだかんだ地元好き

地域にかかわる女性も多い地域である。昭和末期に全国で「女性団体連合会」と呼ばれる地域活動を行う女性が連携する組織が作られたが、足立区は1986年設立で最古。その先進性は最近の活動にも発揮されており、2018年には全国でも珍しい社会福祉法人、医療法人以外の民間が運営する福祉複合施設「Ohanaダイニング」が誕生している。

これは1階に認可保育園、2階に学童保育室、視覚障害者のデイケア、子育てサロンと地域に開かれたカフェからなるもので、各運営者は全員女性だ。子育てサロンを経営する三浦りさ氏は10年ほど活動を続けており、NPOにしてからでも7年目。だが、一緒に施設を運営する人たちは彼女よりベテランぞろいだ。

足立区以外でも講演活動を行うなど母子の居場所に関して長年取り組んできた三浦りさ氏(筆者撮影)

保育園を運営する鈴木圭子氏は50代で主婦から保育園経営者になり、70歳を超えてから新しい保育園を手掛けた。それ以外にも10年以上活動している女性も多く、地域活動に加えて民生委員、保護司などをやっている人もいるとか。そこに町の多様なプレーヤーから意見を聴こうとする姿勢や実行力のある近藤区長が加わり、活動が加速しているのである。

もうひとつ、下町のお節介さも活動を活発にしていると三浦氏は話す。「足立区生まれは出て行きたいと言いながら、地元が好き。地域には課題も多いので、自分が頑張らなきゃと思ってしまうのです」。下町のお節介、面倒見の良さも活発な活動の背景にあるのだ。

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