あの「足立区」が妙に盛り上がっている理由 名物区長と活躍する女性たち
そして活動はさらにその下の世代、学生たちに引き継がれつつある。藝大、電大、東京未来大、帝京科学大を中心にアートイベントや音楽祭、古民家再生、地域の祭りなどに参加する学生が増えているのだ。東京未来大の篠崎雅春教授にお願いして、何人かに話を聞かせていただいたのだが、自ら前向きに楽しんで参加している様子がよくわかった。
特に印象的だったのは区の成人式実行委員会参加者の多さだ。同大2年生の堂本沙也香氏によると、成人式を迎える6000人の半数3000人に区が無作為に実行委員会参加を呼びかる葉書を送付した結果、二十数人が応募したという。しかも、堂本氏以下4人が葉書とは別に自ら手を挙げて参加している。地元が好きでなければ月に2回×半年間の会議にボランティアで出席したいということはなかろう。
よそ者扱いしない温かさがある
堂本氏以外は水戸市、栃木市、市川市など他地域から足立区に来ているが、全員が声をそろえるのは周囲からは足立区の治安を心配されたものの、住んで、さまざまな活動に参加してみて地元の人の親切さ、よそ者扱いしない温かさがよくわかったということ。
これは学生だけでなく、話を聞いた他の地域から移り住んだ、ほぼすべての人が口にしてもおり、人の魅力もまた、地域にかかわろう、手伝おうと思うきっかけなのだろう。
とはいえ、問題がすべて解決したわけではもちろんない。一時、ワーストから脱却できていた刑法犯認知件数は2017年12月末時点で6年ぶりにワーストに転落。比較的軽微な自転車盗難が約37%を占めているものの、犯罪が多いことに間違いはない。そのほかの課題も改善はされつつあるものの、解消はされていない。
ただ、水戸市出身の薄井沙奈氏がうらやましげに言ったように足立には活気があり、町の魅力を口にする区民がいる。それが失われないかぎり、道は遠くとも前進は続くのではなかろうか。
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