あの「足立区」が妙に盛り上がっている理由 名物区長と活躍する女性たち

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2002年に工業等制限法が廃止され、23区内に大学や工場の進出が可能になって以来足立区は廃校になった小中学校跡地に大学を誘致し続けてきており、それ自体は近藤区長のアイデアではない。だが、電大の移転が最終的な評価につながったと考えると非常に強力なダメ押しであったことがわかる。

さらに2021年には文教大学の経営学部、国際学部が花畑地区へ移転。荒川区にある東京女子医大東医療センターも日暮里・舎人ライナー江北駅近くに移る計画だ。同医療センターは外来患者1日平均1000人余、病床数が500床弱、職員数1100人余の地域医療の中核となる大病院で、転出される荒川区には大打撃。だが、老朽化施設の建て替えに条件の良い案を出した足立区が選ばれた。異論もあろうが、区長、やり手なのである。

住民の半数以上が足立区に誇りを持つように

それだけではない。就任以来の施策を見るといずれも独自性が高い。たとえば、2008年度から始まった「おいしい給食」事業は2011年に出版された書籍『東京・足立区の給食室~毎日食べたい12栄養素バランスごはん~』でも知られ、これまでに8万部近くが売れた。杉並区や文京区、福井県など追随した類書を出す団体も複数あるほどだ。

それ以外にも犯罪防止を目指す「ビューティフル・ウィンドウズ運動」、ハローワーク(!)からスタートした自殺防止のための「こころと法律の相談会」(現在は「雇用・生活・こころと法律の総合相談会」)、今では一般的になったシティプロモーション課を23区で初めて作るなど挙げ始めるときりがない。

特にシティプロモーションでは、区民向けの情報発信力の向上に注力。その結果、たとえば180人定員の図書館のイベントが募集開始から1時間で満員になるほどに。区が伝えたいことが伝わるようになり、2010年時点の調査で30%を切っていた区を誇りに思う人の割合は2016年には51.4%に増えた。

自分の町をよしと思う人が増えれば、町の情報はその人たちから発信されていく。外向けのプロモーションに費用をかけていないのに、足立区の情報発信が増えているのはそういう理由もあるのだろう。

次ページ江戸時代は富裕層が住む地域だった
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事