フィリップスが売却中止、船井電機の試練

音響事業の取得失敗で、再建策の練り直しが急務

ただ、液晶テレビの普及が一巡。リーマンショック後の景気低迷も重なり、2004年に365億円あった営業利益は2012年3月期には4億円にまで縮小した。前2013年3月期は国内のブルーレイディスクレコーダの落ち込みや、米プリンター大手のレックスマークインターナショナル社から受託生産していたインクジェットプリンターの受注減も響き、52億円の営業赤字に転落。最終損益は3期連続の赤字に陥るなど、泥沼から抜け出せない。

不振の要因であるテレビ依存体質からどうやって脱するか――。そこで同社が決断したのが、M&Aによる新規事業の育成だった。

船井電機は北米でテレビ等のブランドライセンス契約を締結しているフィリップス社から、2013年1月に180億円で音響機器事業を買収すると発表。さらに同年4月には、レックスマーク社からインクジェットプリンターの特許や資産を95億円で取得すると発表した。

残った事業の収益貢献は不透明

レックスマーク社からはすでにインクカートリッジなど消耗品販売を承継済み。これまで受託生産していた同社のインクジェットプリンターも今後、自社ブランドで事業展開する予定だ。

ただ、この脱テレビ依存の目算も、今回のフィリップス社からの通達により、狂いが生じそうだ。専門家からは「フィリップスの音響機器は同社のブランドネームで売りやすいといった収益貢献の期待があった。しかし、その選択肢は消え、残ったレックスマークス社から取得したインクジェットプリンターは市場がすでに縮小傾向で、しかもキヤノンやセイコーエプソンといった大手の寡占化状態にあるため、収益貢献の見通しが立てにくい」(SMBC日興証券の白石幸毅シニアアナリスト)と厳しい見方が出ている。

赤字体質からの脱却に向け、旗印に何を掲げるのか――。船井電機は再建策の抜本的な練り直しを迫られている。

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