政府は、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を6月15日に閣議決定した。その中では、外国人労働者について新たな在留資格を設けるとして、単純労働者について流入拡大を認める方針を正式に打ち出した。すでに昨年11月には技能実習生の滞在期間が3年から5年に延長されたことで、単純労働者の受け入れを広げる路線は始まっていたが、この方針をさらに進めることが正式に決定された。
外国人労働者に関する規制緩和をどう評価すべきか
この政策について、安倍政権が、遅ればせながら「岩盤規制」に風穴をあけた、などの評価が一部のメディアではなされている。保守的とされる自民党の支持基盤にはもともと移民などに慎重な意見が強く、外国人労働者には強固な規制が保たれていたが、それがようやく取り払われた、という側面が報道では強調されているようにみえる。
不要あるいは時代遅れの経済的規制については、筆者は取り払うかまたは改正することが望ましいと考えている。しかし実際には、存在する規制やルールを何でも取り払えばいい、というわけではないだろう。そうした意味で、外国人労働者に関する規制を「岩盤規制」と評し、今回の外国人労働者に関する規制緩和を一面的に評価する見方には違和感を覚える。
構造改革や供給サイドを強化する政策を重視する論者は、日本の人口減少がもたらす弊害を最も問題視しているため、そうした評価に傾きやすいのかもしれない。なお、歴史的に移民を多く受け入れている欧米の投資家が日本経済を評価する際は、従来移民政策を積極化すべきとの見方は多かった(最近は、移民増加が政治問題化しているので、状況は変わっているかもしれないが)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら