人手不足が深刻化する中、日本では海外から単純労働者を受け入れる必要があると考えている人が多い。日本人がやりたがらない仕事をしてもらうためだ。しかし、熟練労働者についても、移民受け入れの必要性は少なくとも同じくらい存在する。
これは単なる一例にすぎないが、日本はすでにIT人材不足に陥っている。しかも、状況は悪くなる一方だ。経済産業省が2016年に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば、日本のIT人材不足は2015年時点で17万人に達し、2020年までに30万人、2030年までに60万人近くまで拡大する見通しだ。2030年までに市場規模が144万人に達するのに対し41%もの不足が生じる。
日本で働く障壁となるのは
熟練のIT技術者を海外から呼び込まないかぎり、日本企業はIT人材が豊富な国へと海外移転を進めざるをえなくなるだろう。
こうした人材を永遠に外国人労働者のままとするのか、日本国籍を取得する選択肢を与えるのかは、政治的に厄介な問題だ。
難しい問題はほかにもある。まず、言語の壁だ。必要な人材の多くは、日本語よりも英語を話す可能性が高い。経営者は、言語障壁を乗り越える方法を見つけ出すのと同時に、海外から受け入れた従業員が日本での生活に困らないよう、生活に必要な日本語を確実に学べるようにする必要がある。
日本のIT人材派遣会社・ウェブスタッフは、インドの名門校・インド工科大学(IIT)の学生をインターンとして採用し、長期雇用を視野に入れ日本企業で2カ月ほど働くプログラムを行っている。同社によれば、日本企業がインド人ITスペシャリストを雇うときに直面する最大の障壁の1つは言葉だ。同社の取り組みは、今後どのような問題が起きるかを示している。
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