日経平均株価が年初よりもなお弱い水準にとどまっている(6月15日の終値は2万2851円、年初4日の終値は2万3506円)。
年初は堅調だったが、1月末から3月にかけて大きく下落した。その後、4月から持ち直したものの、イタリア発の市場混乱への懸念などで上下する中、やや冴えない動きだ。だが先進各国の年初来株価をみると、米国株が5月から年初来プラスに再浮上、相対的にアウトパフォームしている(勝っている)ようにみえるが、欧州を含め多くのほかの国も日本株と大きく変わるわけではない。
なぜ日本株は米国株に割り負けているのか
株式市場を動揺させてきた要因はさまざまだが、米国のドナルド・トランプ政権による強硬な通商・外交政策に対する懸念が1つとして挙げられる。そうした中、米国株の年初からの成績が他国対比でややアウトパフォームしていることに対しては、複雑に感じる部分もある。その理由としては、トランプ政権による減税効果が本格化、底堅い経済成長が続いていることが挙げられる。
先述のとおり日本株のこれまでのパフォーマンスは決していいとはいえないが、悪いともいえない。だが、減税効果が出ている米国とは異なり、日本では経済政策による成長押し上げが不十分といえるかもしれない。統計の精度が高くない日本のGDP統計をもって、1~3月の経済成長率が3年ぶりにマイナス成長となったことを悲観的にみる必要はないだろうが、個人消費の伸びが一時的にせよゼロ程度に減速した。
人手不足が深刻と数年前からいわれ、それが最近さらに深刻化しているとされる中で、個人消費の停滞は一見理解しがたい。だが失業率は2.5%まで低下したものの、労働市場の需給改善が、賃金そして個人消費の持続的な回復をもたらすには至っていない。完全雇用に近づいているとされる米国ほどには、日本の労働需給は改善しておらず、それ故に日本のインフレ率の伸びが低い。その意味では、残念ながら日本経済はいまだに正常化の道半ばにあると言えるだろう。
日本では、総需要安定化政策は、米国よりも必要と位置づけられている。そうした中で日本銀行は、2%インフレ実現へ向け目標達成への意思を明確にしつつ、量的金融緩和政策を続ける姿勢を保っているのは必然だと思われる。
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