ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う
2016年米国大統領選挙、そして翌年行われたフランス大統領選挙における報道がきっかけで、世界中の注目を集めるようになった「フェイクニュース」。その後も、世界中いたるところで、さまざまなフェイクニュースが生まれ、世の中を騒がせているということは、今さら詳しく語るまでもないだろう。
この2年程の間に、急速に生まれ、拡がっていったように見えるフェイクニュースだが、もちろん、それ自体は決して新しいものではない。インターネットによって“メディア”と呼ばれる一部の限られた組織に限らず、誰でもニュースを発信できるようになって以降、“デマ”はあらゆるところで生み出され、そして時折話題になっていた。
インターネット黎明期から絶えず生みだされてきた、いわゆるデマと呼ばれていたものと、現在フェイクニュースと呼ばれているものとの間には、それほど大きな違いは見いだせない。だが、今フェイクニュースがあちこちで生まれる背景には、現在のインターネットの世界における典型的な「ビジネスモデル」と、そのビジネスモデルに乗っかりやすい状況をつくっている「ソーシャルメディア」の存在がある。
「フェイクニュース」が大増殖する理由
ニュースに限らずインターネット上に公開されている情報やコンテンツは、その多くが無料で提供されている。閲覧者、利用者に対して金銭的負担が発生しない代わりに、サイト運営者はさまざまな広告を掲載し、広告主もしくは広告掲載を仲介する事業者から広告費という形で収益を得るような仕組みになっていることがほとんどだ。
誰でもサイトを持てるようになり、誰でも広告を掲載できるようになり、そして誰でも(その真偽は別として)ニュースを発信できるようになったことで、誰もが広告費を稼ぐということができるようになった。得られる広告費は、サイトへのアクセス数に左右されるので、収益を上げるためには、サイトへのアクセス数を少しでも多く稼ぐ必要が出てくる。その結果、仮に、それがデマ、つまりフェイクであったとしても、ネタとしてインパクトがあり、アクセス数が稼げればよいというビジネスが増長することとなる。
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