半導体、「しばらく不況は来ない」説は本当か 構造変化で需要爆発だがリスク指摘する声も

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IoT(モノのインターネット)化の進展でネットに接続する端末の種類は急増する。自動車やロボットなどあらゆるモノがデジタル化され、ネットに繋がるようになる。米シスコシステムズによると、2016年から2021年までの5年間でデータの量は7倍となる見通しだ。

シリコンウエハの需給はかつてないほど逼迫。大手のSUMCOは2017年度に前年度比20%の値上げを達成、2018年も同20%程度の値上げを計画している(写真:SUMCO)

2021年に必要となるデータの量はおよそ月50エクサバイト(500億ギガバイト)と、想像のつかないような規模となる。ビッグデータ社会の本格的な到来が、半導体市場に空前の好況をもたらしているのだ。

半導体の種類も、これまで中心となってきたメモリだけではなく、さまざまな製品が成長を始めている。

まず期待されているのがパワー半導体。自動車の電動化や電装化で一躍脚光を浴びている。パワー半導体は電池とモーターの間で電力をやりとりするインバーターなどに用いられ、省エネの役割を果たしている。それ自体で演算処理や記憶をするワケではないため、「産業の黒子」である半導体の中でも地味な存在だった。

そのパワー半導体の需要が、環境対応やハイブリッド化の流れに沿って急増している。積層セラミックコンデンサーなど関連する電子部品とともに今後も成長が期待される分野だ。SMBC日興証券株式調査部の渡邉洋治シニアアナリストはパワー半導体や電子部品の市場について「自動車の電動化や電装化はまだ始まったばかり。今はハイブリッド車やADAS(先進運転支援システム)にとどまる需要が、今後、EV(電気自動車)や自動運転時代が到来することによって今後さらに膨らんでいく」と語る。

仮想通貨も半導体需要を下支え

近年話題の仮想通貨も半導体需要を下支えしている。膨大な計算を繰り返し、暗号を解く仮想通貨のマイニング(採掘)には、半導体の性能が重要になる。マイニング業者はマイニングに適したASIC(特定用途向け半導体)の自社開発に乗り出している

日本でもGMOインターネットが6月5日に、自社開発のASICを搭載したマイニングマシンを発表した。このマシンに用いられているのは、世界最先端の7ナノメートルプロセスで作られた半導体だ。熊谷正寿会長兼社長グループ代表は取材に対し「他社と差別化をするため、みずから半導体を作る意思決定をした」と語っている。同社のASICは半導体ビッグ3の一角、台湾TSMCに委託して生産しているものと見られる。TSMCの売上高は、すでに5~10%を仮想通貨向けが占めているといわれているほどだ。

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