(2)入社後の活躍支援
中途採用者が企業に適応し能力を十分に発揮し続けられるよう、入社時における社内人的ネットワーク形成の支援など、早期定着支援を積極的に実施する取り組みが求められています。たとえば、メンターや同年代の社員を紹介するといったことが考えられます。
また、中途採用者を含む自社の従業員が能力を十分に発揮し続けられるよう、従業員に求める役割の明確化や職業能力の把握を普段から継続的に実施する取り組みも挙げられます。
(3)専門性等をもつ従業員の活躍推進
転職指針では、早い段階から、従業員が自身のキャリア形成を考えられる機会や、自身の職業能力を把握できる機会を提供することを挙げています。社内公募制度など、従業員の自律的なキャリア形成の意向にも配慮した人事管理、あるいは他企業への出向や他部門への異動の経験をキャリアパスに組み込むなど変化に柔軟に対応し、活躍できる人材の育成が求められます。
また、転職を禁止する競業避止義務については、長期・広範なものとならないよう合理的な範囲に設定することが企業に求められます。
国の取り組みに期待
転職指針では、企業に求める基本的な取り組みに加えて、国の取り組みも掲げられています。指針は法的な拘束力がないため、企業の取り組みがどこまで進むかは、実際のところ企業次第といったところが否めません。中途採用を積極的に推進したい企業では、転職指針を踏まえた取り組みが今後進んでいくでしょう。
国の取り組みとしては、転職・再就職者の受け入れ促進のための機運の醸成や転職市場に関する情報発信を積極的に行うことが掲げられています。円滑な転職・再就職を促進するために、ハローワークで労働者一人ひとりのニーズに応じたマッチングを推進することや、中高年齢者などの採用に取り組む企業に対する助成金を活用した支援なども指針に取り上げられています。
また、個人が各ライフステージにおいて学び直しができるように、公的職業訓練や教育訓練給付による支援を行うとともに、ライフスタイルに合った学習方法を選択できる受講環境の整備を促進することが示されています。こうした国を挙げた取り組みに期待します。
かつては定年まで一社で勤め上げることが美徳とされていましたが、人生100年時代を迎え、キャリアが長期化していく中で、転職・再就職によってキャリアを展開していくことは、もはや自然な流れと言えます。人材流動化の機運は、さらに高まっていくことでしょう。
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