「40代以降」の中途採用で失敗を防ぐ視点3つ いまや新入社員の「6割」は転職・再就職者だ

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年齢にかかわりなく転職・再就職しやすい環境が整備されれば、労働市場の流動化が高まります。産業構造も変化する中で、雇用吸収力や付加価値の高い産業への転職・再就職を支援することは、国全体の労働参加率の向上につながります。

転職・再就職が不利にならない柔軟な労働市場や企業慣行を確立できれば、労働者も自分に合った働き方を選択して、キャリアを自ら設計できるようになります。また、企業においても急速に変化するビジネス環境の中で、必要な人材を確保しやすくなるといえます。

こうした背景から、年齢にかかわりない転職・再就職者の受け入れ促進のため、企業および国が取り組むことが望ましい基本事項を示した転職指針が策定されました。

企業に求める指針のポイント

転職指針において、企業に望まれる基本事項は、「募集・採用」「入社後の活躍支援」「専門性等をもつ従業員の活躍推進」の3つです。

(1)募集・採用に関する取り組み

「継続して中途採用の求人を出しているものの、なかなか応募者が集まらない……」といった悩みはよく耳にします。そもそも、会社側においてもどのような人材が必要なのか、わかっていない場合もあるでしょう。

そこで、転職指針では、必要とする職業能力や範囲などを明確化すること、さらに給与等の労働条件や職務内容に限らず、期待する役割や職場情報、企業文化などの積極的な情報提供が大切であるとしています。その結果、自社に合う応募者が増えて、入社後のミスマッチが減少し、中途採用者の定着が改善した例もあります。

「求人に対して応募はあるものの、自社が求めるスキルを持つ応募者がいないために採用に結び付かない」という課題もあります。転職指針では、元の業種・職種にかかわらない募集・採用を呼び掛けています。そうすることで、むしろ多様な経験を持つ人材を確保できる可能性が広がります。

また、自社を一度退職した者や社内・社外双方の経験のある人材を評価し、再入社を可能とする制度など柔軟な採用を行う取り組みについても挙げています。

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