交際を始めて4年目に潤さんの父親が倒れた。潤さんは実家のある九州に戻り、家業の病院を継ぐことに。潤さんから「一緒に来てくれるなら結婚してほしい」との現実的なプロポーズを受けたが、祥子さんは承諾せず、潤さんとの関係を解消した。
「まだまだ私は修行中だし、女としても『まだいける』『次も見つかるでしょ』という気持ちが強かったんです。調子に乗っていました。ここから私の『闇の婚活時代』が始まります」
所長の女性から叱られまくった1年間
当時、祥子さんは28歳。孫が急に欲しくなった母親からも背中を押され、高額な結婚相談所に入会した。男性会員は年収2千万円以上、女性は「若い美人」のみ、というわかりやすさだ。婚活市場においては上位1割の男女が選び合う場所らしい。
「所長の女性からしかられまくった1年間でした。長い髪が気持ち悪い、メークが変とか言われ続けて……。母親に電話で愚痴ったら『私もあなたのメークは変だと思っていた』なんてかぶせてくるんです(笑)」
10人以上の男性とお見合いをしたが、最初は楽しくても2回目以降にだんだんと自分のテンションが下がっていく。その原因は必ずしも自分のせいだけではないと祥子さんは感じた。
「年収が高いのに結婚できない男性はどこかに問題があると思いました。私も30歳になれば(その結婚相談所での)価値が暴落します。自分が年齢で判断されたくないのに、相手を収入で選ぶのはフェアじゃない。所長から否定され続けるのも疲れてしまいました」
結婚相談所を退会してみると、合コンなどの誘いはまだ少なくないことに気づいた。同じ医療関係者とは自然に出会うことも多い。両親をはじめとする周囲からは「医者との相性がいいはず」との根拠不明の刷り込みがあったので、同い年の医者からアプローチされて1年近く交際した。
「医者のステータスを好きになったのではありません。同じ医療業界なので話が合うかな、と思っていました」
しかし、新しい恋人と一緒にいてもいま一つ楽しい気持ちになれない。決定的だったのは、2人で旅行した後に生理が遅れたときの心境だ。
「もし妊娠していたらひそかに堕ろすことを考えてしまいました。生理が来たときはうれしくて……。『結婚するのはこの人じゃない』と確信してお別れすることにしました」
祥子さんは32歳になっており、このまま独身で生きていくことを視野に入れ始めた。飲み会に誘われても「いい人が来るかな~」と考えることをやめ、気楽に参加できるようになった。
肩の力が抜けると魅力が増して視野も広がるのは男女に共通している。会社員の和也さんに声をかけられ、1回目のデートでストレートな好意を示してもらった。
「バツイチであることを最初から明かしてくれて、むしろ好印象でした」
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