変額年金保険をめぐる熾烈な競争! 金融混乱、金商法で課題も顕在化

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そこで、昨年12月の全面解禁で、大手各行の保険商品の販売体制はどう変わったか。

三井住友銀行は全面解禁に向けて、保険業界からのスカウトを含め、まさに全国行脚して中途採用を拡大、保険に精通したスタッフをそろえた。

昨年12月から販売を開始した平準払い保険は、土日も営業しているコンサルティングプラザ中心に約90店舗で取り扱い、専門の保険コンサルタンが対応する。そのほか、個人年金保険や一時払い終身保険は主に富裕層を対象に外訪するファイナンシャルコンサルタント、店頭では主に資産形成層を対象にマネーライフコンサルタントが専用ブースで顧客対応する。

今年5月には東京と大阪に「リテイル・バンキング・カレッジ」を開校、新人行員を対象に、提案力や説明スキル向上のための教育・研修制度を充実させた。

もともと保険商品に限らず、個人向けコンサルティングを大きな戦略の一つに掲げてきた三井住友銀行。「個人年金商品などの販売を強化していくには、単に商品知識ではなく、その客様の人生設計(ライフプランニング)まで入り込んだコンサルティングが重要だ」(真鍋浩・コンサルティング事業部商品開発グループ長)。

三菱東京UFJ銀行では、全面解禁に伴い、専門担当者として保険プランナー約350人を、保険商品を取り扱う328店に常駐させている。第三分野の取扱商品なども充実させた。

保険プランナーは主に保険会社から受け入れた出向者だが、「保険プランナーが中心になって、各店舗で保険商品の勉強会をしたり、現場での教育に力を入れている」(リテール業務部保険業務室)。

みずほ銀行も保険会社から100人の出向者を受け入れ、保険販売の強化を図っている。約400の店舗には約3000人のフィナンシャルコンサルタント(FC)が常駐。FCの商品知識やコミュニケーション能力など、スキルアップへ研修に力を入れている。

「コンサルティングは商品知識も重要だが、それよりもライフプランに合わせた商品提案力も。まず顧客ニーズありきだが、タイムリーな商品提供ができるかがポイントだ」(コンサルティング営業開発部)。

顧客ニーズに的確に応える体制・基盤作りが課題

りそな銀行でも、保険会社からの出向者受け入れや保業務経験者の採用などを中心に、保険販売を強化している。全面解禁に際しては、三つの新商品を加え、研修強化を図っている。「商品の説明はできても、ニーズを掘り起こしていくところまではできていない。研修に加え、インセンティブ、評価体系などようやく整ってきたところで、ここ半年で大きく変わっていく」(熊倉雅仁・商品開発部グループリーダー)と期待を込める。

三井住友銀行のように出向者の受け入れに頼らず、自前での販売強化に取り組むところもあるが、全面解禁となっても、すぐにすべての保険商品がうまく販売できるというほど甘くなさそうだ。

温度差はあれ、各銀行の対応をみるかぎり、大きなビジネスになっていくと期待する反面、大きな収益の柱となった変額保険をはじめ、「商品のサイクルが短い。次次に新しい商品が出て、その研修だけでも現場はたいへん」という銀行もある。保険商品に限らないが、金融商品のワンストップショッピングと顧客ニーズに的確に応えられるようなコンサルティングを現場ができるかどうか、その体制・基盤づくりが重要である。

(生保・損保特集編集部)

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