変額年金保険をめぐる熾烈な競争! 金融混乱、金商法で課題も顕在化

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 銀行にとって、その販売手数料収入は魅力だ。投資信託の手数料率は1・5%前後、それに対して変額年金の手数料率は4~6%といわれる。「一般的には据置間の長いものほど手数料率は高い。ただし、1年でみれば同じくらい」(銀行関係者)。たとえば据置期間10年の商品の販売手数料が5%。それが5年ものだと、2・5%。1年分にすれば0・5%で同じというわけだ。「商品ごとに契約は違うが、売ったときに手数料を一括してもらえる場合と、その据置期間で1年ごとに分割してもらえるように選択可能な商品もあるが、ほとんどは一括してもらう」(同)。 

この販売手数料の高さもあり、力の入れ方は各銀行とも並々ならない。結果として、ここ数年間、変額年金の手数料収入は伸び続け、窓販の主力商となっている投資信託(1998年12月に窓販解禁)を上回る伸び率をみせた。「個人向け営業店舗の手数料収入のうち、約3分の1ぐらいは変額年金の販売手数料が占めるほどになった」(ある大手銀行)。

しかし、昨年度は減少に転じた。昨年は12月から保険商品の窓販が全面解禁となったにもかかわらず、年間の保険商品窓販全体でみても販売額は減少した。最大の要因は変額年金販売の失速だ。

昨年夏以降の米国のサブプライムローン問題に端を発した金融マーケット混乱で、特に株式市場が低迷し、運用を主目的とした変額年金に対する人気がなくなった。

最近は運用よりも、保障、年金という本来機能に重点を置いた商品が多くなっている。「変額保険といっても、原資保証などの何かしらの保証がついた商品が増えている。損は出せないということから、ローリスク、ローリターン商品化している」(野村総研)。

90年代、米国の変額年金市場が急拡大、10年間で約10倍にもなった。その米国ではいま、変額年金は鳴りを潜め、個人年金といえば定額年金が主流となった。

また、時期を同じくして昨年9月から完全施行された金融商品取引法で、元本割れリスクのある商品を販売する場合、商品の内容や仕組み、損失リスクなどについて詳しく説明し、顧客が理解・納得したことを書面で確認することを義務づけた。リスク商品である変額年金などが適用対象となったことも大きく販売に影響した。

ある大手銀行の確認書にあるチェック項目は、【1】預金との誤認防止、【2】お客様に関する情報の取り扱い、【3】商品性(申し込み時の取り扱い、負担費用、解約時の取り扱い、年金額の計算、税金の取り扱いなど)、【4】リスクと要因(市場変動リスクなど)、【5】取引の仕組み──など多岐にわたる。

「一つの個人年金商品を説明するのに1時間から2時もかかるケースもある。こうした説明スキルのアップも大きな課題。一方で、より説明の簡単な、理解しやすいシンプルな商品開発も重要だ」と大手銀行の各担当者はいう。


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