「企業業績から見れば、日本株に魅力あり」 運用最大手ブラックロックの副会長に聞く

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——米国、日本をはじめ世界経済全体に中国経済が及ぼす影響は大きくなっている。今年はその減速も指摘されている。影響をどう見るか。

ヒルデブランド これまで中国当局は経済のかじ取りをうまく進めており、それが世界経済の成長にも大きく貢献している。世界経済が中国経済に求めるポイントは、予測可能性と安定した成長だ。これが満たされる限りは、中国の成長率が0.2ポイント鈍化すること自体が大きな問題となることはないだろう。

中国は米国の一方的な姿勢に対しても上手く対応しており、通商制度が世界的な問題に発展することを避けるという努力を行なってきている。世界経済にはプラスの影響を与えていると思う。

——米中の貿易摩擦に関してどのような展開が望ましいか。

ヒルデブランド 米中の貿易摩擦の直接的な影響についてはそれほど心配していない。仮にあったとしても特定のセクターに限られるだろう。

アメリカの主張も完全に的外れというわけではない。NAFTA(北米自由貿易協定)などは、必ずしも現在の経済合理性に当てはまらない部分もある。中国の知的財産問題も同様で、論点がないわけではない。そういった問題は認識しつつ双方で改善を進め、開かれた、かつ管理された通商体制を維持する必要がある。

「日本株のエクスポージャーを1割増やした」

——そうした中、2018年に投資家は何を意識すべきか。

ヒルデブランド 2018年の投資は2017年より複雑で難しく、アップサイドのポテンシャルは小さくなる。ただ、基本的に世界経済が堅調であるという点に変わりはない。ボラティリティは高まっていても、必ずしもダウンサイドリスクばかりではなく、アップサイドとダウンサイド、両方の可能性をはらんでいる。財政政策によってアップサイドに振れるかもしれないし、通商問題やイタリアのような問題、地政学問題ではダウンサイドに振れるかもしれない。

企業業績は極めて好調だ。特に日本では収益だけでなくバランスシートの改善も見られ、企業収益は押し上げられることになるだろう。我々も日本株のエクスポージャーを1年間で10%ほど増やしている。

日本も米国も株価は企業業績の好調さと比較すればまだ値ごろ感があり、引き続き魅力が高い市場だと考えている。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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