「企業業績から見れば、日本株に魅力あり」

運用最大手ブラックロックの副会長に聞く

Philipp Hildebrand / 2012年からブラックロックで、グローバル・エグゼクティブ・コミッティのメンバーを務め、ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)、フィナンシャル・マーケット・アドバイザリー(FMA)の統括的役割も担う。2012年1月まではスイス国立銀行総裁。その間、国際決済銀行(BIS)理事、国際通貨基金(IMF)スイス統括、金融安定理事会(FSB)メンバー、同副会長を歴任。トロント大学卒、ジュネーブ高等研究所修士課程、オックスフォード大学博士課程修了。

——日本経済、日本の金融政策をどう評価しているか。

ヒルデブランド 黒田総裁は各国の中央銀行総裁の中で最も経験豊富な人物の1人だ。日本において非常にアグレッシブな金融緩和が必要だったことは間違いない。同時に構造改革を進めることも、日本で20年間継続したデフレからの脱却に向けて必要だったと考えている。

実際にそうした政策を進め、目標達成へと進んでいるが、先に挙げたボラティリティの高まりが顕在化してきている。日本のインフレ圧力がそれほど大きくなっていないことを考えると、出口戦略については非常に慎重に進める必要がある。今や各国の中銀が出口を求めているが、プロセスを急ぐ必要はない。慎重なアプローチを続けるべきだ。

ゼロ金利政策というものは、金融業界には当然、大きな負担となるが、それは日本だけで起きていることではない。欧州やスイスにおいても同じ状況になっている。中央銀行の役目は経済全体のニーズを考えることにあり、経済全体に焦点を当てて金融政策を運営する必要がある。

日本には構造改革や社会政策が必要だ

——なぜ日本は欧米と比較して出口から遠いのか。

ヒルデブランド 景気刺激策としては十分すぎるくらいの策をとっている。ただ日本の場合、経済の構造上、人口動態の面で高齢化が進んでいるために、潜在成長率が低い。米国の場合は、労働力が流入し、より政策が効きやすい状況にあった。日本はより柔軟に潜在成長率をあげていくことを考えないとインフレ率は上昇してこない。中央銀行の問題というよりも、構造改革、社会政策や移民政策の観点から取り組むことが必要であろう。

2018年の日本の実質成長率は1.25〜1.3%と予想している。これでも潜在成長率よりは高い状況にある。GDPギャップもほとんどなくなっている。ただ、潜在成長率が1%前後と考えるとインフレ圧力がかかっているとしてもそれほど大きくなく、徐々に物価をあげる程度の効果しか持たない。金融政策としては緩和策を継続する必要がある。

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