「医療×ブロックチェーン」の絶大なメリット 「医療IT革命」から始まる患者ファースト主義

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2018年5月中旬、アメリカ・ニューヨークで開催された世界最大の仮想通貨会議「CONSENSUS」には8000人以上も集まったそうだが、ブロックチェーンを活用したシステムを構築できるエンジニアはまだ少ない。ブロックチェーンに詳しい関係者によると、日本では200人程度ではないかと推測されている。

技術者の不足は、ブロックチェーンの普及を遅らせるかもしれない。

ブロックチェーンを支えるプログラム自体は、安価あるいは無料であり、導入のハードルが低いといわれてきた。しかし、技術者不足が主な要因となり、コストが高い開発業者に依頼しなければならない実情がある。人材の奪い合いが始まり、開発コストがさらに上昇する傾向も出てきている。

このため、ブロックチェーンを活用しても、システムが安価に構築できるとは限らない状況になっている。医療分野でブロックチェーンを普及させるためには、技術者の養成を積極的に進める必要がある。

IT革命を思わせるブロックチェーンの可能性

医療関係者についても、ブロックチェーンの有用性に関して認識を高めるべきだろう。普及することで開発コストが劇的に下がり、海外の電子政府の成功例のように管理コスト削減がもたらされると予想されている。死後のデータの取り扱い方法を含め、医療におけるブロックチェーンの活用に向けた制度作りも必要だ。

インターネット黎明期の1994年頃、筆者は国立がんセンター(当時)に勤めながら、医療におけるネット活用の研究に打ち込んでいた。当時、ネットを知らない人々に対して、気象衛星ひまわりの画像を提供し、ネットのマルチメディア性と速報性をアピールしていた頃を思い出す。

ブロックチェーンも、IT革命と同じように医療革命を起こす可能性を感じさせる。

水島 洋 国立保健医療科学院研究情報支援研究センター長

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みずしま ひろし / Hiroshi Mizushima

東京大学薬学部卒業。薬学博士。国立がんセンターがん情報研究部室長、東京医科歯科大学オミックス医療情報学講座教授などを経て、現在に至る。ITヘルスケア学会代表理事、医療ブロックチェーン研究会会長など兼務。専門領域はゲノム研究のほか、医療情報学、公衆衛生学、希少疾患・難病、災害など。

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